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 東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故から、3月で10年となる。日本中を震撼(しんかん)させた大事故は、エネルギーの問題点をあぶり出し、さまざまな改革のきっかけになった。電気を使う私たちに、原子力とどう向き合うのかという重い問いも投げかけた。この10年で何が変わり、何が変わらなかったのか。(大津智義、伊藤弘毅)

 コロナ禍で自粛ムードが漂うクリスマスの夜も、東京・新宿のビル街はいつも通りまばゆい光を放っていた。

 2011年の原発事故直後、避難指示が出された福島県富岡町から、妻、3人の子ども、母の家族6人で東京に逃れてきた市村高志さん(50)は、記者とともに久しぶりにこの場所に立った。

 夜景を眺めながら、事故が起きた日の車中泊で見上げた星空の美しさをふと思い出した。「本当にきれいだった。あんな状況でも一瞬、心が癒やされたんです」。いま眼前に広がる人工のきらめきは、エネルギーを浪費する都会の象徴と映る。「この先も自分は、東京に住み続けるのかわからない」

拡大する写真・図版原発事故後、福島県から東京に避難してきた市村高志さん。ビル街のきらめきを前に、心境は複雑だ=2020年12月25日午後6時、東京都新宿区、杉本康弘撮影

 避難して1年が過ぎた12年初夏、市村さんは会合で同じ富岡出身の友人と新宿の高層ビルにいた。地上30階建て。輝く夜景を見て、友人が隣でつぶやいた。「結局、原発なくてもいいんじゃん」。その一言に、慣れない東京暮らしに、その日を乗り切ることで精いっぱいだった市村さんははっとさせられたという。

 事故前の東電の説明は違ってい…

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