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 新型コロナウイルス対応で首都圏に緊急事態宣言が出るなか、16、17日には大学入学共通テストの第1日程が実施される。コロナ禍で同様の試験を一足早く行った韓国では42万人の受験生が挑み、感染を1人も出さなかったとされる。どのような感染対策が行われたのか。

 韓国で、日本の大学入学共通テストに相当する「大学修学能力試験」が行われたのは、昨年12月3日。コロナの感染拡大を抑えてきた韓国でも、12月に入り、新規感染者が500人前後で推移するようになっていた。感染が急拡大するなか、42万人の受験生と、試験監督官などのスタッフ12万人の感染防止が課題となった。

 韓国教育省は、受験の機会平等との両立を図るために受験生を、①感染が疑われない大多数②感染者との接触により隔離中③PCR検査で感染を確認――の三つのグループに分類。試験会場での集団感染を避けるため、会場を分離した。

 ②は計456人おり、全国113カ所の会場を準備。1部屋4人までに制限した。③は41人で、病院など29カ所で挑んだ。同省によると、感染による重い症状で当日、試験を断念した受験生は確認されていないという。

 ①の一般受験生も受付で体温検査を行い、発熱など症状が認められた場合は別室で受験させた。各部屋の受験生は24人までに制限し、机にはアクリル板を設置。試験監督官も含めて終始、マスクの着用を求めた。事前に周知していたことから、ソウルの試験会場では当日、受験生が「マスクしながら試験に挑めるように練習してきた」と話していた。

 また、受験生には入室の度に備え付けの消毒液で手を洗浄するよう指導し、休憩時間ごとに換気を繰り返した。昼食時間は自席での飲食のみ許した。

 試験中でもせきや発熱などの症状が出た受験生は、試験監督官の判断で別室に移動させた。試験監督官は、答案用紙回収の際に使い捨て手袋を着用し、回収後は毎度、せっけんを使った30秒以上の手洗いが義務づけられた。

 韓国は日本以上の学歴社会と言われる。ソウルの有名大学を目指すなら、小学生から毎日のように塾に通うのが一般的。文武両道よりも勉学重視で、中学校で運動に取り組むのは、主にプロスポーツ選手を目指す生徒くらいだ。大学入試は人生をかけた大勝負と認識され、試験開始時間に遅れそうな受験生を、警察がパトカーで送り届ける光景はもはや風物詩だ。

 例年は試験会場前に、受験生を激励するために後輩らが詰めかけるが、今年はコロナの影響で自粛が求められた。試験の1週間前には、兪銀恵(ユウネ)教育相が国民に向けて「国民全員が受験生を持つ親の気持ちになり、食事など親睦的な集まりはキャンセルして」と異例の要請をした。受験生がいる家庭には、試験が終わるまで家族同士でも「なるべく距離を置いて」と呼びかけた。

 同省によると、試験会場で感染した受験生やスタッフは、1人も確認されていないという。「平等に受験機会を与え、安全な環境を提供できた」と自負する。(ソウル=鈴木拓也)

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