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 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が出されるなか、岩手県内の各自治体で10日、成人式が開かれた。会場に人が集まるのを避けて式の様子をウェブ配信する自治体や、感染症対策を施して行う自治体もあり、新成人にとっては様々な形での船出になった。

 盛岡市は昨年10月、オンラインでの式典開催を決めた。この日は「成人のつどい」実行委の10人が新成人として出席し、ほかの新成人は17日まで動画を閲覧できるようにした。

 同市で成人式の対象となるのは2718人。式典では阿部春菜さん(20)と川又楓さん(20)が「この状況を乗り越えた先に成長した自分でいられるよう、毎日を大切に生きていきたい」と決意を述べた。

 成人式が行われた宮古市。参加者は健康チェック表に直近5日間の体温と体調を記入して提出し、マスク着用、検温、消毒をして入場した。神奈川県の大学に通う台野梨愛(だいのりあ)さん(20)は宣言が出される前に帰省していた。「うつすかもしれないという不安はあったが、小学校の頃からこの日を楽しみにしていた。友達にも再会できてうれしい」

 東日本大震災から10年目の今年、小学校4年生だった新成人はそれぞれの思いを抱えて式に臨んだ。

 宮古市出身で県内の大学に通う村上詩織さん(20)は、津波で祖父を失った。「いつも笑顔で、絵や習字のコンクールで賞を取ると一緒に喜んでくれた。成長した姿を見てほしかった」

 佐可野瞬大(さがのしゅんた)さん(19)は、津波で家族5人で住んでいたアパートが全壊。5年以上、仮設住宅で暮らした。今は親元を離れ、山形県の大学でまちづくりを学んでいる。「震災を体験していない世代にも、過去のこととしてではなく、これからに備えるという視点で伝えていきたい」と抱負を語った。

 県内では大船渡市などが中止を決定。久慈市や矢巾町などが延期を決めた。8日の緊急事態宣言を受け、一戸町は急きょ、代表者7人と来賓1人のみの開催に変更。一関市は8日、今年の式典を来年1月に開催すると発表した。(大西英正、藤谷和広)

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