民事訴訟「ウェブ会議」、コロナで利用増

遠藤隆史
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、民事訴訟の当事者が裁判所に行かずに争点整理などの手続きが進められるウェブ会議の利用が急増している。昨年2月に導入した大阪地裁では昨年12月の利用実績が20倍近くに。裁判所はさらなる活用を呼びかけている。

 大阪地裁は昨年12月22日、ウェブ会議を再現した模擬裁判を報道陣に公開した。「土地を貸したのに賃料が支払われずトラブルになった」との想定で、裁判官がいる地裁と、原告、被告側の代理人弁護士の事務所をテレビ会議システムでつないだ。

 裁判官は冒頭、パソコンのマイクを通じ、画面越しに映る双方の弁護士に「主張の趣旨は(裁判官がまとめた)別紙の通りで良いですか」と話しかけた。弁護士は「その通りでけっこうです」などと応じた。

 争点整理は、原告、被告側双方の主張を整理し、訴訟上の争点を明確にする手続きだ。互いに正確に理解できることが欠かせない。

 模擬裁判では、当事者がイメージを共有するため、画面上に土地の図面を表示し、全員で位置関係を確認する場面もあった。

 交通事故の損害賠償をめぐる訴訟なら、ドライブレコーダーの録画映像を確認しながら議論することもできるという。

 ウェブ会議は、争点整理や和解協議など非公開の訴訟手続きを対象に、大阪地裁などで昨年2月から先行導入された。12月から全国の地裁に広がり、21年度中には地裁支部でも順次実施される見通しだ。

 大阪地裁の場合、2月の実施は36件だったのが、11月は651件、12月は690件(速報値)と大幅に増えた。

 模擬裁判で被告側代理人を務めた原田裕康弁護士は「裁判官や相手方の反応もしっかり見える。まったくストレスはない」。移動時間が省け、関係者の日程調整がしやすいのも利点だ。

 模擬裁判に参加した中尾彰裁判官は「社会全体でウェブを使った会議が普及し、民事訴訟での利用増にも影響したと思う」と話す。「今後も感染防止対策としてますます活用されるのでは」と期待する。遠藤隆史