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 新型コロナウイルス感染症の流行下で行われた子どもの生体肝移植について、移植が必要とされた患者の手術前の肝臓の状態が以前より悪化している傾向があることが、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の研究チームの調査でわかった。医療機関への受診控えや移植ができる医療機関への紹介の遅れなどが影響したとみており、「必要な医療を適切なタイミングで受けるため、病院へ行ってほしい」としている。

 小児の生体肝移植は、胆管が詰まり肝臓で作られる胆汁が腸管に流れない胆道閉鎖症を患う子どもに対して行われる例が多く、手術を受ける年齢は1歳前後が多い。

 研究チームによると、センターで実施された生体肝移植件数は、2020年の6月、7月は前年(19年)を大きく下回り、減少の傾向は8月も続いた。

 さらに研究チームが、胆道閉鎖症の患者の手術前の肝臓の状態の重症度評価を比べると、19年の22例の中央値が8・5だったのに対し、20年5~10月に移植が行われた12例では中央値14で、悪化が目立っていた。過去5年間の中央値は10で、20年の症例が際立って悪化していることがうかがえる。

 調査を行った山田全毅(まさき)医師は、「コロナ感染拡大下で移動の自粛や病院の受診控えがあり、必要な医療を適切なタイミングで受けてもらうことができなかったことが懸念される」と話す。肝機能が悪化している場合は、移植手術後の回復の遅れや合併症のリスクにつながる恐れがあるといい、「移植が必要な患者の受診を遅らせないことが大切だ」と訴える。

 研究報告は、米医学誌「Transplantation」に近く掲載される。(熊井洋美)