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 昨年1年間の東京都内の交通事故による死者は155人で、前年よりも22人増え、都道府県別で53年ぶりに全国最多となった。警視庁は、コロナ禍に伴う「緊急事態宣言」で交通量が激減して車の速度が上がったことや、電車ではなく自転車で通勤する人が増えたこと、屋外レジャーの人気でバイクに乗る人が増えたことなどが要因とみている。歩行者の交通法規やマナー違反も目立った。

 都内の交通事故による死者は2015年が161人、16年が159人、17年が164人、18年が143人、19年が133人と減少傾向が続いていた。

 昨年の死者を年齢別でみると、80代が最多の24人で、70代が23人、50代と60代が22人、20代21人などと続いた。中学生以下の死者が急増し、前年よりも4人多い5人だった。歩行中が67人(同10人増)で全体の約4割。バイクは40人(同12人増)だった。自転車と自動車はそれぞれ34人、14人でともに前年と同じだった。

 昨年はコロナ禍で人気を集めたフードデリバリーサービスの配達員による自転車の事故や違反が目立った。杉並区で4月に「ウーバーイーツ」の配達員の大学生(21)が軽自動車とぶつかって死亡したほか、5月には、同社の配達員が自転車通行禁止の首都高速を走った。8月には、豊島区で同社の配達員(37)が歩行者をはねたまま逃げ、ひき逃げなどの容疑で書類送検された。

 警視庁には苦情が多数寄せられ、昨年末に主要社の配達員を集め、初の講習会を催した。今年も安全運転の指導や取り締まりに力を入れる考えだ。

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 交通事故死者数が53年ぶりに全国最悪となった東京都内で、警視庁が課題の1つに挙げるのが歩行者の安全対策だ。死者の約4割を歩行者が占め、うち約6割が何らかの交通違反をしていたためだ。

 昨年の死者155人のうち歩行者は67人と前年より10人増えた。交通総務課によると、うち約6割の40人が、何らかの交通違反をしていた。歩行者用信号を無視したり、横断を禁じられている場所を渡ったりした人が目立った。近くに歩道橋があるのに渡らず、自転車横断帯を渡って車にはねられた人もいた。

 酒に酔っていたり認知症を患っていたりした人が路上で寝込んだり座ったりしていて、事故に巻き込まれて死亡した人も12人で、統計を取り始めた2012年以降で最多だったという。

 同庁は歩行者に交通法規とマナーの順守を呼びかける方針。担当者は「自分の命を守るため、交通ルールやマナーをしっかり守ることが大切。どれだけお酒を飲んでも、道路に横になるのは絶対にやめてほしい」と話している。

 同庁は同時に、車の運転手には横断歩道での「歩行者優先」の徹底や右左折時の徐行を求め、指導や摘発を強化する。(角詠之、河崎優子)

事故を防ぐために歩行者ができること

・信号を守るなど交通法規とルールの順守

・道路の横断時は信号が青でも左右を確認

・近くに横断歩道があれば遠回りになっても利用

・斜め横断をしない

・自宅近くの慣れた道でも車に注意

・夜間は反射材と白っぽい服を着用

・酒に酔って路上で寝込まない

※警視庁などによる

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