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 【静岡】NPO法人伊豆学研究会の橋本敬之理事長(68)が、下田街道(三島―下田)沿いの全集落について歴史的エピソードや習俗などを点描した「下田街道の風景」を出版した。橋本さんの長年の伊豆研究で集めた各種の史料などに基づいて、各地の産業や伝説、暮らしぶりを生き生きと描いている。

 下田街道は伊豆半島のほぼ中央を貫く約70キロの道。途中の天城山系が難所となり、陸路による南北の交通が盛んになったのは江戸時代になってからだという。幕末には要人が往来するなど歴史を刻み、川端康成の「伊豆の踊子」など文学作品にも登場する。

 そんな話題も織り交ぜながら、地域の成り立ちや今に残る当時の痕跡などを紹介している。伊豆市本立野では、紙すきを産業として地域の半数の家が取り組んでいたことなど、出版にあたり新たな発見もあったという。

 各集落の記録を残しておこうと執筆を始めた。背景には、急速に進む高齢化と人口減少で歴史資料などが失われつつあるとの危機感があったという。あとがきには「故郷の文化が失われ、帰る故郷がなくなる危機が間もなく訪れる。歴史を振り返り、文化を見直し、後世に伝えてほしい」と、筆者の思いがつづられている。(石原幸宗)

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