室田賢
小さい頃から、テレビなどでプロ野球選手の契約更改を見てきた。
「サインしましたか?」
「はい、しました」
そんなやりとりとともに来季の年俸が報じられると、必ずつきまとう2文字があった。“推定”。これ、なんでだろう?
ロッテの本拠ゾゾマリンスタジアムで昨年12月中旬、2度の首位打者を経験した角中勝也外野手(33)が球団と新たな契約を結び、記者会見に臨んだ。
「(年俸は)下がりました。最低限の働きしかできなかった」と角中選手。報道陣が具体的な金額を聞こうとするが、「1600万円にしておいて。うそだけど」「減額制限(元の年俸が1億円以下の場合は最大25%)くらい」などとはぐらかし続けた。それでも報道各社は、前年の推定年俸として報じた1億円を根拠に7500万円(推定)と伝えた。
選手が年俸額を明言することはあまりない。報道陣は選手との会話でつかんだ感触や、その後の球団幹部への取材などからおおよその金額を算出し、各社ですり合わせたうえで報じている。正しい数字かどうかを確認しきれないから「推定」の注釈が欠かせない、というわけだ。
スポーツジャーナリズムに詳しい江戸川大学の神田洋教授(スポーツ史)によると、年俸報道の始まりは大リーグ。1930年にはベーブ・ルースが推定8万ドルの契約を結び、当時のフーバー大統領の給料7万5千ドルを上回ったとして話題になったという。「フーバーより成績が良かったんだから、当然だろう」というルース本人の言葉も当時の新聞には紹介されている。
日本では60年代から年俸報道…
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