「刀剣乱舞」が教えてくれた刀の美 知識深める女性たち

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斉藤勝寿
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 一昨年、80年ぶりに復刊した名著『日本刀』が版を重ね、ヒットしている。牽引(けんいん)するのは女性たちだ。日本刀をイケメンに擬人化したゲームをきっかけに興味を持った女性たちが今や専門家ばりの知識を吸収して、鑑賞している。

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熱心に刀剣を見学する人たち=2020年11月29日、東京都中央区の三井記念美術館、斉藤勝寿撮影

 岩波新書の『日本刀』の初版は1939(昭和14)年。著者の本間順治(1904~91)は日本刀研究の第一人者だ。敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)によって押収されそうになった日本刀を美術品として守り、日本美術刀剣保存協会や刀剣博物館(東京都墨田区)を創設した中心人物の一人である。

 出版した時期は、軍国化が進み、日本刀が軍刀として脚光を浴びている時代だった。「その中で、だれでも気軽に読める、新書という手法で、日本刀の正しい歴史をわかりやすく提示したかったのではないか」と同協会は出版の理由を推測する。

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本間順治=本間美術館蔵

 『日本刀』は43年発行の5刷で品切れになっていたが、「岩波新書クラシックス」の一環として2019年10月に6刷として復刊された。最初に刷った部数は発売後3日ほどで売り切れ、4カ月弱で累計1万5千部を超えるヒットとなった。版を重ね、昨年11月には12刷となっている。

戦後は武器より美術品として

 ヒットの背景には「刀剣乱舞―ONLINE―」の影響による刀剣ブームがある。日本刀をイケメンなどに擬人化した「刀剣男士」を集めて、過去に出陣させ、歴史を変えようとする敵を攻略していく刀剣育成シミュレーションゲームだ。

 このゲームにはまった若い女性たちがリアルな刀剣に向かったという構図だ。そもそも日本刀は武器の役割が強かったが、戦後は美術品としての側面が強調された。

 岩波書店新書編集部の中山永基さん(40)は「日本刀の熱心なファンなら、この古い本も手にとってもらえるのではと企画しましたが、ここまで話題になるとは思っていませんでした」と打ち明ける。復刊本は旧字体のままだが、新字体に直した電子版を昨年発売し、好評という。

 「ゲームやアニメなどを通し…

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