青森でリンゴ盗難相次ぐ 弘前市りんご課の対策

吉備彩日
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 青森県内では毎年、リンゴの収穫期を迎えると盗難被害が相次ぐ。県警や自治体が対策を重ねているが、県警が把握した昨年の被害件数は、2015年以降で最多となった。大量盗難に遭ったにもかかわらず、被害届を出していない農家もある。

 「悔しい(気持ち)しかない」。そう振り返るのは、弘前市でリンゴ農園を営み、産直通販などを手がけている「RED APPLE」代表の赤石淳市さん(42)。昨年11月26日の昼ごろ、摘みごろのリンゴがごっそりなくなっているのを見つけた。収穫期の終盤に向けて、忙しく働いている時期のことだった。

 盗難に遭ったのは、会社がいくつか所有する畑のうちの一つ。畑の4分の1から3分の1程度の木から、収穫期を迎えていたサンふじおよそ2400キロ(推定)がもぎ取られていた。「販売価格に換算すると、被害は100万~120万円になると思う」と赤石さんはこぼす。

 警察への被害届は出さなかった。捜査をしてもらっても逮捕されるとは限らないし、早く他のリンゴも収穫してしまわないといけないという気持ちもあったからだ。それでも被害があったことを知ってもらおうと、会社のSNSにリンゴがもぎ取られた木の写真を投稿した。「春から頑張ってやってきた結果がこれじゃ悲しすぎる」と悔しさを吐露すると、応援のメッセージのほかに、「うちも盗まれたことがある」という声も寄せられたという。

 赤石さんは今後、畑に防犯カメラを設置することを検討している。「自分のところだけでなく、周りの畑のことも気にして、防犯意識を高めるしかない」と話す。

カゴに印を入れると捜査に役立つ

 県警が確認した昨年のリンゴ盗難は県内で6件。被害は合計約3350個、約20万7500円相当に上った。件数は2015年以降最多で、被害金額は2番目に多かった。

 10月には、深夜にリンゴ畑をパトロールしていた青森南署の警察官が不審車両を発見し、元リンゴ農家の男を窃盗容疑で逮捕した事件もあったが、リンゴ盗難の検挙は15年以降、この事件を含めて2件にとどまっている。

 10月の事件では、生産者がリンゴを入れるカゴに印をつけていたことが逮捕につながった。「カゴや箱に自分のものとわかるようテープを貼るだけでも捜査に役立つ」という。

盗難防止の市の対策

 弘前市りんご課によると、赤石さんのようにリンゴの盗難被害に遭っても被害届を出さない生産者は多いといい、警察が確認していない盗難被害もかなりあるとみられる。

 同課は市内のリンゴ畑にセンサー式のカメラを設置する取り組みを18年から続けている。昨年も収穫期にあたる10月下旬から12月にかけて、夜間でも赤外線で撮影できるカメラを複数設置した。

 設置箇所ではこの3年間、盗難被害は出ていないという。カメラは電池式で電源も要らず、生産者の負担はない。同課の担当者は「生産者の苦労が水の泡になるのをなんとか防止したい。試験的につけてみたいということでもいいので、課に設置の相談をしてもらえれば」と話す。(吉備彩日)