[PR]

 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言の対象区域に、岐阜県が加わることが13日決まった。飲食、観光業界からは嘆きの声が上がった。

     ◇

 宣言の対象区域となることを受けて、県は16日から2月7日まで、全ての飲食店に対し午後8時までの営業時間の短縮を要請する。このうち酒類を伴う飲食店については、すでに県独自の非常事態宣言に伴い、12日から同様の要請をしてきた。要請に応じた場合の協力金は、1日あたり4万円から6万円に増やす。

 スポーツジムや映画館、パチンコ店などの施設に対しても、午後8時までの営業時間の短縮を求める。飲食店以外の業種に対しては協力金は支払われない。

 県民に対しては、すでに不要不急の外出や移動の自粛を要請しており、これを続ける。古田肇知事は13日の会見で「県民一人ひとりの日常生活の問題。緊急事態にあるとの認識を持ち、それぞれが感染防止策に取り組んでほしい」と訴えた。(松沢拓樹)

     ◇

 午後8時までの時短営業を求められた飲食店からは、悲鳴が上がる。

 「午後8時までとなると営業しない方がいい、というお店も出てくるだろう」

 西濃地域の200超の飲食店が加盟する県飲食生活衛生同業組合西濃ブロックの副ブロック長で、大垣市ですし店を営む野口和由さん(69)はこう懸念する。

 酒類を伴う飲食店などに対しては、県が昨年末から午後9時までの時短営業を求めてきた。だが「午後8時から9時まではもっともにぎわう時間帯。影響はかなり大きい」と野口さん。「感染対策への協力は必要で、それぞれのお店で工夫していくしかない。一日も早い収束を願う」

 午後9時以降も営業する店もある。岐阜市の繁華街・玉宮地区で飲食店を営む男性(22)は「国や県の協力金では従業員(の給与)をまかなえない」と話し、感染対策をしながら営業を続けるという。宣言について「飲食業だけ悪者にされているようだ」と憤った。

 タクシー業界も頭を抱える。県タクシー協会によると、コロナ禍ですでに廃業や合併に追い込まれた会社が出ており、飲食店の午後8時までの閉店に伴い、夜間の台数を減らしたり、営業時間を短縮したりする動きが広がる。

 川上秀人協会長(日の丸自動車社長)は「公共交通機関として協力は惜しまないが、社員の生活や業界の存続を考えると大変厳しい。対策への助成などを検討してほしい」と話した。

 高山市の「飛驒大鍾乳洞」は宣言を受け、15日から来月7日まで休業する。冬場は高さ約30メートルの「氷の渓谷」を見物するため、全国の観光客が訪れる。中萩久夫社長は「現在も来客は減っているが、社員とその家族を感染から守るために決断した」と話した。

 企業などは出勤者の7割減も求められるが、課題もある。

 岐阜、愛知両県の企業を対象に新型コロナの影響を調査した十六総合研究所(岐阜市)によると、昨年9月に回答した228社のうち、テレワークを推進している企業は37・3%。6月の調査より9・8ポイント増えた。ただ「加工・組立型」「サービス業」「運輸業」の企業のうち7割以上は、推進が難しいという。

 藤木由江研究員は「製造業が多い岐阜ではテレワークの導入は頭打ちの状態。7割削減という数字は難しいと思うが、業務に支障がない部署に限定して実施するしかないのでは」と話した。(板倉吉延、松永佳伸、松山紫乃、山下周平)

関連ニュース