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 新型コロナウイルスの感染が広がる中で迎える今春の大学入試で、北海道の受験生の地元志向が例年以上に強まっている。感染が拡大する首都圏への進学を嫌う保護者の意向のほか、オンライン授業が中心になりがちなマンモス大学に進学しても、人間関係が築きにくいとみて避ける意識が働いている可能性もある。

拡大する写真・図版北海道大学の正門。新型コロナの影響で北海道の受験生の地元志向が強くなっているという=札幌市

 全国の18歳人口が本格的な減少期に入る今春は、大学志願者数も連動して減るとみられ、大学入試は全体として競争が緩和される見通しだ。

共通テスト導入で浪人生減少

 そのうえ今回からは、思考力・判断力・表現力が問われ、従来のセンター試験より難易度が上がるとみられる「大学入学共通テスト」が導入される。前年の受験生の多くがこれを避けようと浪人せずに大学に入ったため、例年になく「浪人生が少ない年」となった。

 そんな中で北海道内の受験生にみられる傾向のひとつが地元志向だ。河合塾札幌校の北山健一校舎長によると、北海道大を目指す受験生の場合、併願先としてMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)と呼ばれる東京の有名私立大を選ぶ人が多いが、今年はこれに加え、札幌市内の北海学園大や北星学園大を選ぶ動きが出ている。

 昨年10月に全国で行われた河合塾の「全統共通テスト模試」は、コロナ禍で会場確保が難しくなり受験者は全国で前年の8割余りとなったが、道内では今春地下鉄駅の近くにキャンパス移転する日本医療大(札幌市)を志望先に挙げる受験生が前年と比べ82%増となり、北翔大(江別市)も41%増となった。一方、東京にある東洋大は30%減、中央大、日本大は16%減だった。

リモート授業の大規模私大を敬遠

 地元志向が強まっている理由として、北山さんは「感染が広がっている東京に子どもを行かせたくない保護者の意向があるようだ」と説明する。

 さらに、こう推測する。「首都圏の大規模私大では全国のさまざまな人と知り合うチャンスも多く、サークル活動などで交流を広げたい受験生も多い。しかしコロナ禍で授業がリモート中心になり、大学という空間自体を楽しみづらくなっていることが影響しているのかもしれない」

拡大する写真・図版北海道大学キャンパス構内のクラーク像=札幌市

 駿台予備学校札幌校の斉藤剛・教務マネージャーは、地元志向とともに安全志向も強まっているとみる。「共通テストという新しいテストが始まるのに加えて、コロナ禍があり、安全志向に拍車がかかった」。旧帝大など難関国立大を目指す成績上位層を除けば、その傾向が強いという。

強まる保護者の意向

 兆候は、新型コロナの感染拡大から間もない昨春の入試から見えていた。道内の受験生で、MARCHの一つと道内の私大に両方受かったが、道内を選んだ人がいたという。斉藤さんは「本人というより保護者の意向だったようだ。コロナ禍でなければMARCHに行っていただろう」とみる。

 受験をめぐる受験生と保護者の関係性の変化も背景にありそうだ。駿台予備学校の校内アンケートで、「合格・不合格は保護者の協力と関係があると思いますか」との質問に、「保護者の協力が不可欠」と答えた受験生は、1995年は33・1%だったが、20年後の2015年には59・7%になった。「受験は本人の実力と努力だけ」の回答は逆に37・6%から12・1%に減った。「進路選択でも保護者の意向が強く働くようになった」と斉藤さんは言う。(片山健志)