イスタンブール=高野裕介
男女間の格差が今も根強く残るトルコで、女性の人権が脅かされている。夫や交際相手らによる暴力がやまず、最近では1年間に500人近い女性が命を絶たれている。何が起きているのか。(イスタンブール=高野裕介)
「私たちが今も生きていられるのは、この子の存在があるからなんです」
最大都市イスタンブールにあるアパートの一室。犬のぬいぐるみが置かれた子ども部屋で、アフメット・ペリットさん(61)がつぶやいた。傍らには孫の3歳の男の子。その母で、そしてアフメットさんの娘のトゥーチェさんは2020年1月、27歳の若さで亡くなった。夫に殺されたのだ。
拡大する殺害されたトゥーチェさん=遺族提供
14年に結婚したが、3、4カ月もするとけんかが増え、夫から暴力を受けるようになった。顔を殴られ頰を骨折したこともあり、アフメットさんらは「家を売ってあの男から逃げよう」と説得した。だが、トゥーチェさんは「どんな家庭も問題はある。乗り越えればきっと幸せになれるから」と言うだけだった。
息子が生まれても暴力は一時的にやんだだけ。トゥーチェさんは定職のない夫に代わって学校給食作りの仕事をし、顔のあざは化粧で覆って出勤した。文句一つ言わずに働いたのは、息子を教育水準の高い私立学校に入れたい一心からだった。
一度は離婚を決意し、警察にも…
この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料会員記事です。
残り:1747文字/全文:2272文字
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
速報・新着ニュース
あわせて読みたい
PR注目情報
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞国際報道部