英大使館がデータの誤りを指摘 政府の脱炭素化向け戦略

新田哲史、野口陽
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 2050年の脱炭素化に向けた政府の「グリーン成長戦略」をめぐり、英国の再生可能エネルギーの導入政策の記述が誤っているとして、在日英国大使館が経済産業省に指摘していたことがわかった。日本が50年までにめざす再生エネの導入比率の目安を「約50~60%」とする根拠の一つとして示していたもので、経産省は修正することも含めて大使館側と対応を協議しているという。

 成長戦略では再生エネの最大限の導入を図るとし、50年の総発電量に占める再生エネの割合を参考値として「約50~60%」と明記。そこに「世界最大規模の洋上風力を有する英国の意欲的なシナリオでも約65%」「米国でも再エネ55%」と併記した。

 ところが、英国大使館は12日、経産省などの政府関係者やNPOなどにメールを送り、「誤解を招く内容が含まれていた」と指摘。英国のシナリオが「約65%」とした部分についても「英国はこのような目標は掲げておらず、英国の政策ではない」と否定した。

 英国大使館によると、英国は50年の温室効果ガスを実質ゼロにする目標を掲げているが、再生エネの導入目標は定めていない。英国政府が設けた有識者機関は昨年12月9日、脱炭素化に向けた再生エネ導入の道筋を提言したが、それも「30年までに60%、35年までに70%、50年までに80%」と、数字が違うという。

 日本の再生エネの目安をめぐっては、民間団体などから「低すぎる」との指摘があり、英国の記述の誤りも「意図的ではないか」と疑う声も出ている。

 経産省資源エネルギー庁戦略企画室は朝日新聞の取材に対し、英国の有識者機関が19年に出した提言に基づいて「約65%」と記述したと釈明。昨年12月の提言に新たな数値があることは認識していなかったという。年明けに英国大使館から指摘を受けたといい、「大使館と話して対応を考えたい。修正もありうる」としている。(新田哲史、野口陽)