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 【香川】京都市在住の美術家、林葵衣さん(32)は、自らの「声」を作品にする。制作に使うのは口紅。声を出しながら壁やキャンバスに口づけ、口紅の痕が作品になる。「唇拓(しんたく)」と呼ばれる独自の技法だ。その作品は高松市美術館で3月10日まで見られる。

 9日、林さんの公開制作が市美術館の常設展示室で行われた。「と、お、く、と、ど、く、お、と(遠く届く音)……」。30人ほどの来場者の前で、一文字ずつ声を出しながら、白い壁に口づけていく。

 口紅を塗り直したり、読み上げた文字を唇痕の下に書いたりしながら、15分ほどで長さ約8メートルの壁の端から端まで、一列の作品が完成した。読み上げたのは、美術館の開放的なエントランスに着想を得て作った79文字の回文(濁点、音引きを除く)だ。

 2013年に京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)大学院の修士課程を修了。音を可視化する作品を手がけていくうちに、この技法を思いついた。

 口紅を拭ったティッシュを見て「この形、面白い」と思ったのがきっかけという。林さんは「モノを置くだけで作品になることもあると、大学院の先生から教わりました。自由に、色々な方法で作品を作っています」。

 展示は午前9時半から午後5時、月曜休館。林さんの作品が見られる常設展の入場料は一般200円、大学生150円、高校生以下無料など。問い合わせは市美術館(087・823・1711)。公開制作の様子は市美術館のYouTube公式チャンネル(https://www.youtube.com/channel/UC4t7MOSlgnUBMRcDAKks0ew別ウインドウで開きます)から見られる。