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 【和歌山】子どもたちが「3・2・1」と大きなかけ声をあげた。直後、真っ青な空に白い煙を噴き出してミニロケットが打ち上がった。「すごーい」。歓声があがった。

 昨年12月上旬、串本町の潮岬近くの広場で、手作りのプラスチック製ミニロケットの打ち上げ会があり、小中学生ら15人が参加した。火薬を燃やして飛ぶミニロケットは長さ約30センチ。スペースワンが打ち上げるロケットの60分の1だが、固体燃料を使って空へ飛び立つ原理は同じだ。参加した町立串本小学校6年の杉本爽真(そうま)さん(12)は「1発目の発射は、ぜひ、見てみたい。宇宙飛行士になって宇宙へ行ってみたい」。県立桐蔭中学(和歌山市)1年の岩橋悠人さん(13)も「宇宙やロケットが好き。将来は宇宙船に地上から指令を送る仕事に就きたい」と目を輝かせた。

 会を主催したのは、宇宙に関心をもつ県内の教諭ら約20人でつくる「県宇宙教育研究会」。代表で、県立桐蔭高の科学部顧問でもある藤木郁久教諭(51)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研修を受けた「スペースティーチャー」として10年ほど前から活動を続け、昨年9月に会をつくった。「まさか、和歌山にロケット発射場ができるなんて。びっくりし、感動した」とし、「子どもたちに、ロケットは遠い存在ではなく、身近だと感じてほしい。宇宙に興味を持つ子を育てたい」と話した。

 会は今後、年1回ほど打ち上げ会を催して、宇宙への関心を高める考えだ。町も小中学校の授業に取り入れたいとしている。

 発射場の建設をきっかけに、町内でロケットや宇宙、人工衛星を学ぶ取り組みが活発になってきた。

 宇宙産業に詳しい観光・地域活性化コンサルタントの新津研一さん(50)は、町に委託されて昨年12月、町立潮岬中学校で説明会を開いた。

 体育館で全校生徒を前に人工衛星が天気予報やカーナビ、津波の観測など、生活の身近な、たくさんのことに役立っていると紹介。「そんな衛星を打ち上げる串本へ世界中からロケット技術者や観光客らがやってくる。串本を世界へ発信できるチャンス。宇宙のことを勉強して、みんなで成功させましょう」と呼びかけた。説明を聞いた生徒会長の佐藤晴輝さん(14)は「夢が広がった。ロケットの勉強がしたい」。

 1号機の打ち上げ時、発射場の南側の沖にあってロケットの飛行が見やすい紀伊大島・樫野崎での見学は、町内の子どもたちが優先される見込みだ。田嶋勝正町長は「町の将来を担う子どもたちに、この体験から夢を広げてほしい」と話した。

 町は、町内にある県立串本古座高校へロケットに関心が高い教員を配置してほしいと県教委に要望した。同校は全国から生徒を募集している。田嶋町長は「最終的には『ロケットコース』を設け、JAXAから講師を招く教育をしたい」。ロケットを核にした特色ある教育を全国へアピールする希望を語った。(直井政夫)

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