第10回コロナ禍で始めた「できること会議」 原点は北欧留学
年が明けていよいよ受験シーズンを迎え、16日には大学入学共通テストが始まりました。各界で活躍する受験経験者や、さまざまな分野で学びを深めている現役大学生・大学院生たちからの、受験生へのメッセージを随時お届けします。
受験する君へ 早稲田大学教育学部・青柳雄大さん
コロナ禍で初の緊急事態宣言が出たのは、昨年4月7日だった。大学に行けない。アルバイトもできない。そんな重苦しい状況でも、何かできることはないか。翌日、早稲田大学教育学部4年生の青柳雄大さん(21)はフェイスブックで、インターネットを通じた話し合いの場への参加を呼びかけた。
その名も「できること会議」。ウェブ会議システムのZoom(ズーム)を使い、仲間と一緒に20回以上会議を開いた。参加した大学生や高校生らは延べ400人ほどにのぼる。高校生有志がマスクを集めて医療従事者に送ったり、高校生向けに大学生らがオンラインで自分の大学の説明会を開いたり。会議を起点にして動き出した計画は七つを数える。
会議をつくった直接のきっかけはコロナ禍だったが、原点は3年時の留学経験だ。早稲田大の交換留学制度を利用してデンマークのコペンハーゲン大学で1年学んだ。国連の世界幸福度ランキングで同国は常に上位に入る。その理由を知りたかった。
留学先で寮に入ると、政治をテーマにした学生どうしの議論が活発で驚いた。はっきり意見をいう寮生に圧倒される一方、場の雰囲気を気にせずに発言できる同調圧力の少なさが、個人の幸せとつながっているようにも感じた。
「雄大はどう思う」とよく聞かれ、戸惑った。「勉強してきて知識はあるはずなのに、うまく答えられない。深く考えて自分の意見を持ち、それを周りに伝える経験が足りないと気づかされました」
帰国後、早稲田大の同級生と一緒に社会貢献活動を始めようと考えていた矢先にコロナが広がり、状況が一変した。急きょ、オンラインで様々なテーマを議論する活動に切り替えた。
コロナで先行きに不安はあるが、卒業後は北欧の大学院に進学する予定だ。留学やできること会議を通じて得た問題意識をより深めたいと考えている。「大学に入り、留学をして、視野や活動が広がりました。受験勉強は大変だと思うけれど、乗り越えた先に様々な出会いやチャンスがあります」(土屋亮)

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