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日本史B(第1日程)

 解答数は4問減少したが、センター型の問題形式・内容を踏まえつつ、様々な資料を用いて思考力・判断力を問う問題も多く出題された。

―概評―

従来のリード文を掲げて出題する問題は大幅に減少し、メモ・発表要旨・スライドなどを素材としながら多角的な視点から問う問題が多い。しかし、知識を重視した問題も多く、解答しやすい問題も多かった。

―センター試験・試行調査との相違点―

センター試験と試行調査とを折衷したような問題であったが、試行調査のような複雑な問題や資料を用いた問題は減少し、センター試験を踏襲する傾向が強かった。一方で問題数は減少したが、資料問題は増加した。

【大問数・設問数・解答数】

6

30

32

【問題量】

設問数・解答数の減少により、問題量自体は減少したが、資料問題の増加によって、やや時間を要する。

【出題分野・出題内容】

出題分野はセンター試験・試行調査と同じく、通史・古代・中世・近世・近代・近現代史であった。第6問は「第二次世界大戦後の民主化政策」をテーマとした問題であったが、戦後史そのものの出題は7問中の2問だった。

出題内容は社会経済史・文化史の問題が比較的多かった。

【出題形式】

試行調査で見られた、ある歴史事象を評価して根拠を求める問題や、単なる空欄補充問題ではなく語句を選択する理由を問うという、二段階の思考を要する問題が出された。また、地図3枚を年代順に配列するという問題も出された。

―難易度(全体)―

昨年度のセンター試験と同程度の難易度であった。正確な年代を特定するための細かな知識を必要とする問題などが比較的多く、資料問題の読み取りに時間がかかる面もあったが、全体としては標準的な問題が多く、解答数も減少した。また、試行調査(2018年度実施)と比べて易化していた。

―設問別分析―

第1問

・小問A 古代~中世の社会・経済・外交 難易度:標準

・小問B 近世~近現代の経済 難易度:標準

2024年に予定される日本銀行券のデザイン変更を受けたのか、古代~戦後の貨幣の歴史を題材とし、主に社会・経済・外交から出題された。リード文には生徒によるメモが提示された。問2の図は「一遍上人絵伝」のうち教科書にも掲載のある福岡市の一部。dは「咲也さんのメモ」を見れば正しいとわかる。問4の江戸時代の金貨成分比の推移表は教科書にも掲載されている。金の成分比率を中心に問うており、重量と混同すると解答を誤りかねない。問6のc・dの正誤判定は、1946年の金融緊急措置令の内容を押さえているかがポイントとなる。

第2問

・小問A 原始~古代の政治・外交 難易度:やや難

・小問B 古代の政治・外交・文化 難易度:やや難

古代における文字使用をテーマとする出題。設問は単純な知識だけでなく、確かな理解や思考力が求められるものが多かった。問1は、3種類の中国王朝の領域を示した地図を年代順に並び替える問題で、王朝名が明示されていない中で、統一王朝(後漢)・三国時代・南北朝時代という流れをイメージできるかが鍵だった。問3は、7世紀後半の漢字使用に関する事例をもとに朝鮮諸国からの影響を読み取るという考察力が問われた。問4は、c・dの判断に注意。国風文化について中国文化の影響という観点からも理解できているかがポイントだった。

第3問

・中世の都市と地方 難易度:標準

中世の都市と地方をテーマとして、社会経済・文化を中心とする出題。問1以外は、知識重視の設問となっていた。問1は中世における荘園の基礎的な理解を前提に、初見の史料と絵図を読み取る問題。「牓示」については史料中の注釈と絵図における位置を合わせてその役割を考えたい。問3の並び替え問題は、頻出ではあるが、Iの山城の国一揆とIIの加賀の一向一揆は年代が近いので注意したい。

第4問

・近世の政治・社会 難易度:標準

近世社会の儀式・儀礼をテーマに、江戸時代の政治・社会について出題された。図版を使った問題および2つの史料問題があり、時間を要した受験生が多かったと思われる。示された情報をいかに正確に理解・把握し、正誤を判断できるかがポイントであった。問1は図と説明を丁寧に合わせて考えれば正誤の判断は難しくない。Yの文から井伊直弼と三家(水戸家)を想起したい。問2はIの時期の判断で迷ったかもしれない。大船建造の禁を解いたのはペリー来航後(安政の改革)のことである。

第5問

・近代の政治・社会 難易度:やや難

景山英子の略歴をテーマに、近代の政治・社会が問われた。問1は空欄後の説明をヒントにし、イは平民社を社会主義と結びつけられるかがポイント。問3のa・bは、史料の内容が英子にとって批判すべき現状であることに注意。c・dは、学校が1901年に設立された時代背景で、教育勅語発布(1890年)と義務教育期間延長(1907年)のどちらかの年を知っている必要がある。問4は1907年のことについて問われた。Yは、1920年設立の新婦人協会が女性の政治集会参加禁止の撤廃などを目指したことから、正文と判断できる。

第6問

・昭和戦前・戦後の社会経済 難易度:標準

農地改革をテーマに、昭和戦前・戦後の社会経済について問われた。空欄補充問題では、空欄に入る語句を単に選ぶだけでなく、その理由が問われるなど、従来のセンター試験では見られなかった問題が出題された。問2の1920年代に活動した組織を選ぶ問題は、全国水平社を選ぶ。時期を意識して学習ができていたかが解答のポイント。問3の1920~30年代の寄生地主制の動向、問5の戦時期の農業統制について問う問題は、提示されたスライドをよく読んだ上で解答する必要がある。また問3に関しては、小作争議の内容を押さえておくことも必要。(代々木ゼミナール提供)