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 岐阜市の男性(19)は、昨年7月、春に就職したばかりの都内の結婚式場を辞め、帰郷した。県内の料理学校を卒業し、3月に上京。入社前からアルバイトとして働いたが、新型コロナウイルス感染症の影響で披露宴は次々と中止に。入社式も無いまま、4月から自宅待機が続いた。

 「外出もできず、きつかった。ぼーっとしているだけ。先が見えなかった」

 フランス料理の料理人を目指していた。同じ学校の友人も、何人かが離職していた。料理人の夢は捨てていないが、飲食業は厳しそうだ。「別の道も考えないといけないのかな」。今は自宅で、家族の夕食を作る日々という。

 岐阜労働局が昨年末に発表した、来春卒業予定の県内の高校生の就職内定率(11月末現在)は85・5%で、前年同期より6・2ポイント低く、2009年以来11年ぶりに前年を下回った。求人数は8750人で、前年同期より21・8%減った。

 労働局の担当者は「コロナ禍でも、企業が定期的な若者の採用を続ける意思はある。一方で、選考基準が例年より厳しくなっている側面もあり、業種によっては新型コロナの影響が大きい」と説明する。大学・短大生の就職内定率(同)も72・8%で、前年同期より4・2ポイント低かった。

 県内の一部自治体は昨年、新型コロナの影響で離職したり、内定を取り消されたりした人を対象に、職員の採用に取り組んだ。羽島市は昨年6月、会計年度任用職員として4人を採用。新たな職を得るなどした2人を除き、今も2人が同市役所で働く。

 保険年金課で事務を担当する20代の女性は一昨年秋、県外の建築会社に内定を得た。建築に携わる夢を胸に、入社前の研修も受けた。しかし昨年3月、入社の延期が告げられた。「この先どうなるのかと、ただ不安だった」。収入が無いまま待機が続き、5月に出社日が設けられた。幹部との面談で対応に疑問を漏らすと、逆に「入社する気があるのか」と責められた。ハローワークや学校に相談して「別の会社を考えた方がいい」とアドバイスを受け、入社を断念した。

 羽島市での仕事にもようやく慣れてきたが、任用職員の期限は3月末。就職活動も考えているが、仕事もあり、緊急事態宣言の中で愛知県などに出てよいかとためらってしまう。「今は市役所で経験を積み、建築業だけでなく、幅広く仕事について考える機会にしたい」と話した。(板倉吉延)

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 岐阜労働局の元吉清隆・職業安定部長

 県内の雇用情勢に新型コロナの影響が出始めたのは昨年3~4月。4月に急減した求人数は6月には底をつき、6~8月に増加した求職者数もその後3カ月は横ばいで、落ち着きを取り戻しつつあった。しかし再度の緊急事態宣言で、改めて影響が出てくるだろう。

 県内企業はコロナ特需などの一部を除き、どの業種も大きく影響を受けた。昨年11月の新規求職者の内訳を見ると、事業主都合の離職者が前年同月比で3割以上増えている。業種別では飲食業、観光業、航空関連などの状況が厳しく、今後は求人減だけでなく、解雇などの動きも懸念される。事業所が休業しても休業手当を受け取ることができない場合は、労働者が申請できる「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」を活用してほしい。

 新卒では昨春、企業の面接が受けられないという話もあった。岐阜労働局は、若者の雇用に積極的な企業の認定制度「ユースエール」や「新卒応援ハローワーク」の取り組みを強化し、支援してきた。昨年末には県内の経済4団体に新卒雇用の維持を要請した。

 大企業が採用を絞る現状は、県内での就職を検討してもらう好機でもある。県内の企業や自治体は目を向けてもらう取り組みが必要で、在学中の職業教育も求められる。また、東京への一極集中が見直されており、企業誘致の好機とも考えてほしい。

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