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 今年から導入された「大学入学共通テスト」が16日、栃木県内8大学の試験場で始まった。新型コロナウイルス感染の急拡大で、政府の緊急事態宣言が出された直後となった。受験の緊張に加え、感染対策に神経をとがらせる張り詰めた空気の中、受験生が「関門」にのぞんだ。

 31年間続いた大学入試センター試験に代わって導入された共通テストは、これまで以上に思考・判断・表現力が問われる。県内では昨年より291人少ない8680人が出願したが、コロナ禍は試験会場の風景も一変させた。

 宇都宮市峰町の宇都宮大学正門前。昨年まで高校、学習塾の教師や講師らが受験者を出迎え激励していたが、今年は感染防止策として文部科学省が自粛を求めたため、そうした姿はなかった。

 宇都宮市の女子生徒(18)は「受験準備は共通テストを前提に始めたので、そんなに心配ない。ただ、先生たちの姿が見えず不安。今年に入って、感染対策で学校や塾の空気はピリピリしている」と明かす。

 塾の自習室は年末まで午後9時半まで使えたが、再宣言後は午後8時までに。学校では無言で昼食を食べるように言われ、教師は教室の換気に神経をとがらせる。毎朝の検温など昨年までなかった受験の注意事項ものしかかる。

 「友人は息抜きが出来ず、欲求不満がたまると漏らしていました。私も手を洗う回数が増えました」

 大学入試センターによると、各会場では受験生にマスクを義務づけ、消毒液を置いた。科目と科目の間には少なくとも10分以上の換気を求め、感染拡大地域に住む受験生には、郵送した文書で2週間前からの健康観察を呼びかけた。終了後は分散して退室させる会場もあったという。

 正門まで見送りにきた同市の母親(52)は「マスクのほかに消毒液も持たせました。とにかく、この日を無事に迎えられてホッとしています」と話した。

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 宇都宮高校で進路指導を担当する手塚貴志教諭(59)は「制度の変更やコロナ禍による長期休校など振り回された1年でした」と振り返る。そのうえで「ここに至っては生徒に大きな動揺、不安は感じられません。発熱もなく全員無事に試験が終わることを願っています」と話した。

 大手予備校宇都宮校の担当者(34)は「年明け以降、特に首都圏で緊急事態宣言が出た後は校舎に来る生徒が減りました。宇都宮市でも感染者が急増し、不安も増したのでしょうね」。

 同校では毎年、試験会場前に講師らが立って激励していたが、運営会社からの指示を受け見送った。その代わりSNSで「新しい試験で不安かもしれないが、いつも通り冷静に解いていけば大丈夫」といった内容の言葉を贈ったという。

 塾に来ない受験生に対しては個別指導が書かれた手紙を15日までに郵送した。試験後の相談についてはオンラインでも受けつけるという。(中村尚徳)

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