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 米連邦議会襲撃事件を受け、米ソーシャルメディア(SNS)各社がトランプ大統領のアカウントを相次いで停止し、「表現の自由」との関連で議論が起きている。暴力の再発防止のためにやむを得ないとの見方の一方、IT大手の影響力の大きさを疑問視する声もある。

 「米大統領は言うまでもなく、人々を沈黙させようというのは、中国で起きていることだ。我が国であってはならない」。ヘイリー前米国連大使はこう批判した。ツイッターが今月上旬、約8870万人のフォロワーがいたトランプ氏のアカウントの「永久停止」を発表すると、トランプ政権内外から反発が相次いだ。

 だが、トランプ氏の言動が6日の襲撃事件につながったとの考えから、フェイスブック(FB)も7日、3500万人のフォロワーがいる同氏のページや、インスタグラムのアカウントを少なくとも2週間の停止に。グーグル傘下の「ユーチューブ」も12日、277万人のフォロワーがいるトランプ氏のチャンネルで、少なくとも1週間は新たな投稿をできないようにした。トランプ氏は支持者と直接コミュニケーションをとる主要なツールを失った形だ。

 米国憲法は、修正第1条で「表現の自由」を保障している。米政府などが個人の「表現の自由」を制限する法律を作ることを禁じる内容だ。SNSなど民間企業が制限する側として想定されていない。

 米メディアでは「トランプ氏の台頭は、ツイッターなしには考えづらい」として、ツイッターなどの対応がそもそも遅すぎたという指摘もある。サンフランシスコ・クロニクル紙は社説で、「(サンフランシスコ一帯の)ベイエリアのハイテク貴族たちは自分たちが一緒に縫い合わせるのを手助けしたモンスターへの関わりを、今になって否定している」と批判する。

 一方、人権擁護に力を入れる「米自由人権協会(ACLU)」前会長のナディーン・ストロッセン・ニューヨーク法科大学院名誉教授は「暴力を意図的にあおることは、米国の法体系でも許容されない。投稿規制にはもっともな根拠がある」としつつ、国際的に認められた表現の自由の尊重という観点から「規制は必要最小限であるべきだ」と指摘する。

 ストロッセン氏は、アカウントを停止することでトランプ氏の支持者らが過激な言論を受け入れるプラットフォームに移行し、言論がさらに先鋭化しかねない、と懸念を示す。議論が表に出なくなり、捜査当局が犯罪の兆候をつかむのが難しくなる危険もある。

 世論調査では意見は割れている。米公共ラジオ(NPR)などによる調査では、トランプ氏の退任後のSNS利用を、企業が制限をすべきではないとした回答が50%にのぼり、制限を続けるべきだとした43%を上回った。

 ニューヨーク・タイムズ紙は11日の記事で、最近のIT大手の決断は「正しいと思う」としながらも、「彼らがまるで最高裁のように振る舞っているのを見ると、極端に気持ちが悪い感じがする」とも指摘した。そこにあるのは、私企業が、救済措置もほとんど確保しないなかで、言論の方向性を勝手に規定することへの強い違和感だ。

 1996年制定の「通信品位法230条」は、利用者による投稿内容についてネット企業に幅広く免責を認めているのと同時に、ヘイトスピーチなどの有害な投稿については削除や修正する権利を認めている。米IT企業は、これに基づき、暴力を誘発する投稿の取り締まりを行ってきた。

 米巨大ITが世界的に大きな影響力を持つようになるなかで、米議会ではここ数年、この条項の見直しが議論されてきた。特に利用者の投稿の取り締まりを巡って、共和党議員は「シリコンバレーのIT企業はリベラルに偏っており、保守派の声を弾圧している」との批判を強めていた。

 企業側も複雑だ。

 「我々がトランプ氏のアカウン…

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