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 作家の向田邦子さん(1929~81)が自身の小説観を語っている様子を収録したカセットテープが、新潮社内でみつかった。飛行機事故で亡くなる半年前に開かれた読書会で、講師として招かれた向田さんは「文学賞(直木賞)を間違ってもらってしまった」と謙遜しながらも、自分の作品のスタイルを確立させることに意欲を見せている。

 この読書会は、読売新聞の読書普及活動として読売ブッククラブが主催した「YBCの集い」で、81年2月15日に埼玉県小川町で開かれた。作品を読み込んで質問をする参加者に向田さんは「あまり理詰めに読まないで」と柔らかにいなし、「100人の人がいれば100通りの本の読み方があっていい」と語りかける。

 ドラマ「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」などの脚本やエッセー「父の詫(わ)び状」などですでに人気を集めていたものの、小説に関してはまだ駆け出しという自己認識で、「練習曲(を弾いていたはず)がいきなり演奏会になってしまった」と80年の直木賞受賞を振り返っている。直木賞は「小説新潮」に連載された3短編での受賞で、受賞作を含む「思い出トランプ」が出版されたのは同年末になってからだった。

 一方、気になる余分な1行があると先輩作家の水上勉さんが指摘していることについて問われると、文章を植木にたとえ「植木は私でして、この枝を切れと言われたからといって、(その通りに切って)私が水上さんになっちゃうわけにはいかない。もう少し不細工であっても枝を伸ばしてみて、切る時期がきたら自分で切ろうとうぬぼれている」とこたえ、作家としての自負を示した。

 小説の内容がフィクションか経…

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