ニューヨーク市に住む医師の久保田勝さん(50)は、2020年に聞いた二つの泣き声を、一生忘れないと思う。
3月下旬、新型コロナウイルスの陽性反応が出た。医師として、じゅうぶんに気をつけていたつもりだった。感染経路はわからない。「結婚記念日に市内中心部の飲食店に行ったぐらい」。最初は風邪を引いたかのような倦怠(けんたい)感から始まった。だが、体温が39度近くまで上がった。せきも止まらない。
勤務先の病院は、新型コロナ患者であふれていた。診察室が足りず、ストレッチャーのまま2時間、救急救命室前の廊下で待つ。入院を勧められた。怖かった。
「死んでしまうかもしれない」。妻(36)に電話でそう告げた。妻は泣いて答えた。
「私は大丈夫やから。入院して」
これ以上話したら、2人とも号泣してしまいそうで、電話は10分ほどで切った。ほんとうは、大丈夫なんかじゃなかった。妻も発熱し、明らかな症状が出ていた。しかも、当時は妊娠中。臨月手前だった。
初期に妊娠合併症で出血を経験…
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朝日新聞国際報道部