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 トルコでは政府によるメディアへの締め付けが年々強まっている。今や「大手の9割が政権寄り」とも言われるようになった。そんな閉塞(へいそく)感の中でも、自由な言論を守ろうと必死に闘い続ける記者たちがいる。(イスタンブール=高野裕介)

大手と一線画す独立メディア

 昨年10月下旬、最大都市イスタンブール中心部のビルのワンフロアで、ネットメディア「T24」の若手スタッフが忙しそうに動き回っていた。一角に設けられた小さなスタジオで、米大統領選について伝える動画を撮影するためだ。

 「いかなる企業、人物、組織などの傘下にも属さない独立したネット新聞」。2009年に設立されたT24はうたう。80人ほどの小所帯だが、新型コロナウイルスによる死亡者数やインフレ率について政府発表と違う数値を報じるなど、大手メディアと一線を画す報道ぶりが注目を集める。野党議員が明らかにした報告書では、14~18年にT24が掲載したニュースのうち585件の閲覧がブロックされ、トルコメディアでは最も多かったという。

 トルコでは近年、T24のようにネットに特化したニュースサイトの設立や、大手メディアを離れた著名な記者らがブログや動画を活用して発信を続ける事例が目立っている。

 T24には、政権に批判的な論調で知られるジュムフリエット紙の編集長を務めたムラット・サブンジュ氏(51)ら経験豊富なジャーナリストも名を連ねる。ドアン・アキン編集長(56)は「サブンジュ氏のような記者に見合う給料は支払えない」と話す一方、「大手メディアにいた多くの友人たちが移ってきた。(本物の)ジャーナリストになりたい若者たちに門戸を開いている」と胸を張る。

 その一人が、19年7月に加わった新米記者のアディル・エルギン・バージュさん(23)。「特定の勢力の広報マンになり、圧力で筆を曲げるような記者にはなりたくない」と取材から動画編集まで自らこなす。16年に起きた軍の一部によるクーデター未遂事件への関与を疑われて拘束された軍学校の学生の家族や、前党首が「テロ」関連の罪に問われて投獄された政党の集会など、大手メディアが扱わない事象も取り上げる。

 取材対象について社内で干渉を受けたことはなく、自由な雰囲気で仕事ができているという。「私の世代の多くが今のトルコのメディアには問題があるとわかっている。でも、いつか本来の姿が戻ると信じているし、希望は失わない」と話した。

記事の後半では、開始から26日で放送が停止されたテレビ局の編集長がインタビューに応じ、二分されたトルコメディアの現状を語ります。放送停止の背景には「政府の圧力」があったと主張します。

記者「書くテーマに上司に与えられる」

 「これ以上放送を続けることは…

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