インド洋の島国スリランカで、政府が新型コロナウイルスによる死者の土葬を禁じて火葬を強制し、イスラム教徒らが猛反発している。スリランカ政府は「火葬は感染拡大を防ぐため」と言うのだが――。(ニューデリー=奈良部健)
「息子の顔を見ることもできず、勝手に火葬されてしまった。私と妻の合意すらなかった。胸が引き裂かれるようだ」
スリランカの最大都市コロンボに住む運転手のモハメド・ファヒムさん(38)は昨年12月、生後わずか20日で息子を亡くした。検査で新型コロナウイルスの陽性結果が出た、と病院は伝えてきたが、自身も妻のファティマさん(33)も陰性で、生まれてからずっと一緒に過ごしていたのに息子だけが陽性だとは、信じられなかった。
息子が火葬されてしまうことを恐れたファヒムさんは、別の病院を探し回って改めて検査しようと必死だった。しかし、病院は息子の再検査のための血液提供を拒んだ。しばらくして、病院の担当者から「共同墓地に来てほしい」と突然電話があり、同意のないまま火葬されたことを知った。
ファヒムさんは朝日新聞の取材に「最愛の息子との最後の別れを奪われたばかりか、信仰に反することをされた。二度とこんなことは起きてほしくない」と憤った。火葬やひつぎの費用4万5千スリランカルピー(約2万5千円)も請求されたという。
ファヒムさんの信仰するイスラム教は火葬を禁じている。死者は土にかえって骨になった後、終末の時に元の身体でよみがえると信じられているからだ。
しかし、スリランカ政府はコロナ感染による死者について、火葬しか認めていない。「土葬すると遺体からウイルスが地下水に混じり、感染拡大を引き起こす可能性がある。火でウイルスを消滅させなければならない」という説明だ。
だが、それは表向きの理由にす…
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朝日新聞国際報道部