大江千里さんコラム「ＮＹ　今を生きる」

　iPhone　X（アイフォーン・テン）をここ数年ずっと大切に使っていたのだけれど、何度か落下させたのでほころび、画面が割れて読みづらいったらありゃしない。それでも一生懸命指を当てて、操作をし続けていた。写真を撮影する時に画面がグラグラ揺れるので、意を決して新しいのに交換しに行った。

　お店の人は僕の携帯を見るなり「おー神様、こりゃダメだ」という表情をした。どうやらNYには結構僕のような客が多いらしい。店にいる間大騒ぎで駆け込んでくる同世代を何人も目撃した。

　僕は一番新しい12の大きなやつをオーダー。ついどっちか？と尋ねられたら大きい方に手を出してしまう。頼んでから「しまった」と思ったが、時すでに遅し。運よくお店に在庫のあった黒が運ばれてくる。2021年の決意は「新」！

　問題はいざ古いのから新しいのへ情報を移す時に起こる。

　古い携帯の液晶が画面を塞い…