[PR]

 東日本大震災から3月で10年になるのを前に福島県会津若松市の県立博物館で「震災遺産を考える 次の10年へつなぐために」と題した企画展が開かれている。学芸員が被災地を訪れて収集してきた174件の震災遺産が展示され、当時の様子を生々しく伝える。3月21日まで。

 同館ではこれまでも震災に関する特集展を開いてきたが、今回は10年という節目に合わせて、その積み重ねとして内容も増やした。 展示は、地震、津波、火災と原子力発電所の事故を伝える震災遺産とともに、大震災を振り返る▽震災遺産を収集する学芸員が何を考え、集めた震災遺産をどう読み解き、震災遺産と向き合ってきたか▽震災遺産がなにを語るのか、伝えられるのか。関係者の言葉も紹介――の3部で構成される。

 同館によると、原発事故の影響で放射線量が高く、立ち入りできないエリアに複数の文化施設が取り残され、文化財の劣化が危ぶまれた。学芸員たちは関係機関とも連携し、線量計を持ち防護服を着て、文化財のレスキュー活動を行ったという。

 会場では、震災の発生時刻ごろにとまった時計(いわき市、富岡町など)やJR富岡駅の駅名電光板(富岡町)、請戸漁港看板(浪江町)、避難所の前に掲げられた立て看板(会津若松市)、県外避難者に送られている新聞(川崎市)などが並ぶ。

 また、富岡町の災害対策本部跡を再現したコーナーもある。メインテーブルの上に残された多数のメモ書きや、そばのホワイトボードに書かれた「津波…曲田、小浜地区の車輌(しゃりょう)流されている」「原発 2F 4号停止」の文字は当時のひっぱくした様子を伝える。

 同館学芸員の筑波匡介(ただすけ)さん(歴史・災害史)は「震災、原発事故を自分のこととして考えてほしい。企画展を通して、今後の10年をどうしていくべきか、復興とはなにか、思いを巡らせていただきたい」と話し、鈴木晶館長は「この10年で思ったことは、当たり前の生活のありがたさ。人々の強さ」と語る。(上田真仁)

関連ニュース