自転車の技で優勝の小学生 「びびる、でも五輪で金を」

祝迫勝之
[PR]

 福岡県八女市新庄の小学5年松本翔海(しょあ)さん(11)が、自転車で宙を舞いながら高難度の技を決め、バイシクルモトクロス(BMX)男子10~12歳の部で日本一になった。父直樹さん(39)が自宅に造った練習場で特訓を重ねた成果だ。

 翔海さんが自転車とともに勢いよく空中に跳んだ。自転車を左横方向に360度回転、同時にハンドルを右方向に3回転させる大技が決まった。岡山で昨年9月にあった全日本BMXフリースタイル選手権大会。ジャンプ台でアクロバティックな技を繰り出す「パーク」競技で、高難度の技をミスなく決め、男子10~12歳の部で初優勝した。

 翔海さんは「難しい技ができた時がうれしい」。

 始めたのは小学1年の時。動画で子どもが難しい技を決めるのを見て「格好いい」と感じたのがきっかけ。いつも乗っていた普通の自転車の前カゴを外して練習した。だがハンドルは360度回らない。技を練習したいと専用の自転車を買ってもらった。

 練習できる場所は近くにはなく、県内外の専用施設に車で親が送迎する日々が続いた。2年ほどたったころ、直樹さんが「素人」ながらも、BMX仲間の力も借りて、自宅にジャンプ台のある練習場を造った。空中技を磨くため、着地点はスポンジいっぱいの一角も設けた。

 学校から帰ったら、まずは宿題と決めている。その後、午後4時過ぎから7、8時まで自転車に乗る。10時ごろまで続けることもある。照明がついているので暗くても練習できる。県内外から友達が練習に来るようにもなり、競い合うようになった。

 フリースタイル・パークは東京五輪から正式種目になった。将来は「五輪に出て金メダルをとる」と宣言する。けがはつきもので「びびることがある」。びびらずできるようになることが宿題だ。

 大会ができる本格的な練習場も新たにつくる。自宅横の700平方メートル近い土地を、地元の人たちの協力もあって買うことができた。

 整備は昨年12月に始まった。直樹さんの勤務先の舘工業(筑後市)が「子どもたちのために」と全面的に協力。完成は4月ごろを予定する。

 舘工業代表の古舘康さん(41)は「五輪選手が出るよう、BMXと言えばここと言われるよう盛り上げていきたい」と語る。(祝迫勝之)