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 先進国を中心に新型コロナウイルスのワクチン接種が進む現状について、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は18日、途上国との間で分配の不平等が起きていると懸念を示した。「世界は悲惨な道徳的失敗の危機に瀕(ひん)している」として、先進国や製薬企業に公平なアクセスへの貢献を求めた。

 この日始まったWHOの執行理事会であいさつしたテドロス氏は、WHOなどが主導する、ワクチンを共同調達して途上国にも公平に分配する枠組み「COVAX(コバックス)ファシリティー」で20億回分を確保できるめどが付き、2月からワクチンの供給を始めることをめざすとした。一方、一部の先進国はCOVAXに先回りして自国分を確保するため、ワクチン価格を押し上げて製薬会社と取引している、と苦言を呈した。

 また、これまでに少なくとも49の高所得国で計3900万回分以上のワクチンが投与された一方、アフリカのギニアを想定して「最低所得国での投与はたったの25回だ」とも指摘した。テドロス氏は「豊かな国の若くて健康な成人が、貧しい国の医療従事者や高齢者より先に接種を受けるのは正しくない」と語った。

 公平なアクセスを確保するため、先進国に対し、製薬会社から直接購入するワクチンの価格や数量、納期といった情報を公開することや、自国内の医療従事者や高齢者への接種が終わったら残りのワクチンはCOVAXと分け合うことなどを求めた。製薬会社に対しても、途上国での利用を前提にした審査を速く進めるため、ワクチンの安全性や効果についてのデータをWHOに速やかに提出するよう求めた。(ロンドン=下司佳代子)