地球の核1万3千発、9割は米ロ 軍縮条約延長へ思惑

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ワシントン=渡辺丘 モスクワ=喜田尚、北京=冨名腰隆 ブリュッセル=青田秀樹 武田肇
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 史上初めて核兵器を全面的に禁止する「核兵器禁止条約」(核禁条約)が22日に発効する。核超大国の米国では、「核兵器なき世界」の理念の継承を表明するバイデン新政権が始動した。1発でも使用されれば壊滅的な被害をもたらす核兵器は地球上に1万3千発以上。条約の発効や米国の政権交代は、停滞し続けてきた核軍縮を動かすことができるか。核兵器をめぐる世界の現状を報告する。

 「核兵器なき世界」をうたった米国のオバマ前大統領は、射程の長い核兵器を制限する米ロの新戦略兵器削減条約(新START)について、上院で批准を承認してもらうのと引き換えに、30年間で1兆ドル(約103兆円)を投じる核兵器の近代化計画を受け入れた。トランプ政権は計画を引き継ぎ、予算を増額。2018年に「使いやすい」小型核兵器の開発を表明後、潜水艦に実戦配備した。

 19年には、冷戦末期の1987年に米ソが署名した中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱した。ロシアの条約違反を理由にしたが、背景には中距離ミサイルの開発・配備を加速させる中国の存在がある。

 米ロ間に残る唯一の核軍縮条約となった新STARTは2月5日に期限切れを迎える。ロシアが増強する短・中距離ミサイルや極超音速兵器の多くは条約の対象外。他方、中国が今後10年で核弾頭を少なくとも倍増させると米国防総省はみる。

 トランプ政権はロシアにすべての核弾頭の制限を要求し、中国を条約に加えるべきだと主張。ビリングスリー大統領特使(軍備管理担当)は「第三国が台頭し(核兵器が)拡散する世界で、冷戦時代の米ロの条約を単純に持続させるのは意味がない」と語る。だが、中国は交渉参加を拒否し、ロシアとの新START延長交渉は難航している。

バイデン新政権が始動した米国と、世界で最も多く核弾頭を保有するロシアの、新START延長を巡る思惑とは。他国の状況も含めて記事の後半で分析しています。

 バイデン次期米大統領は昨年…

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