諦めたイラストレーターの夢、猫が救ってくれた

中塚久美子
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 【兵庫】猫の毛並みや表情を精密に描く鉛筆画家、西方由美さん(37)=兵庫県伊丹市=が初の画集を出版した。夢だったイラストレーターの仕事を一度は諦め筆を置いたが、飼い猫を失い、描くことで救われていったという。

 「タラクロ・保護猫・地域猫 西方由美えんぴつ画集」(金木犀舎、税込み2530円)。長年一緒に暮らしたメスの「タラコ」とその子ども「クロ」に加え、近くに住む地域猫や市内の保護猫カフェで出会った猫の鉛筆画38点を掲載している。

 西方さんと猫との出会いは、中学2年生だった1997年秋。自宅ベランダの植木鉢に、猫が寝ていた。しばらくすると家に出入りするようになり、タラコと名付け飼うことに。

 絵を描くのが好きだった西方さんはイラストレーターを目指し、専門学校に通った。しかし、「描きたいものが見つからない」と中退。別の仕事に就いた。

 2016年秋、約20年共に暮らしたタラコが亡くなった。翌年、押し入れにしまっていたケント紙と鉛筆が偶然目に入り、タラコを描いてみた。「描くことで、つながっていられる気持ちになった」

 これを機に、市内の駄菓子屋に勤めながら、休日に猫を描き始めた。精緻(せいち)な筆致がツイッターなどで話題になり、昨年、初めて個展の開催や画集の出版を経験した。「遠回りしたけど、描きたいものが見つかった。猫の役に立ちたい。私が描くことで、保護活動や地域猫の世話をしている人がいることを知ってほしい」と話す。

 画集の売り上げの一部は、猫の殺処分ゼロを目指して活動する団体に寄付される。問い合わせは、姫路市北条口1丁目の金木犀舎(079・229・3457)へ。中塚久美子

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