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 バイデン米次期大統領が財務長官に指名した米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン前議長(74)が19日、米上院での承認公聴会に臨み、コロナ禍に苦しむ中間層を支える大規模な財政出動の必要性を訴えた。中国について「米国の最大の戦略的な競争相手」と明確に位置づけ、その「脅威」に強い姿勢で対処すると述べた。

 イエレン氏は「いま行動をとらなければ、さらに苦痛に満ち、傷痕が長く残る不況が続く」と指摘。バイデン氏がすでに議会に呼びかけている追加的な経済対策をとるよう促した。巨大な政府債務のリスクについて「無視しているわけではない」としつつも「歴史的な低金利のなか、(債務の利払い負担が抑えられているため)大規模な財政出動が最も賢明だ」と述べた。

 19日の米ニューヨーク株式市場はイエレン氏の発言を好感し、主要企業で構成するダウ工業株平均が反発。前週末比116・26ドル(0・38%)高い3万0930・52ドルで取引を終えた。

 米財務長官は、人権侵害や安全保障上の懸念がある外国企業に対する金融制裁や投資規制など、幅広い権限を持つ。イエレン氏は対中関係について「米国の知的財産の侵害や、重要技術、データの不正取得など、中国の不法な活動に対処する必要がある」と強調。「同盟国と協調するとともに、(中国との)競争のため米経済を強化しなければならない」と述べた。

 イエレン氏は、党派対立が激しい米議会で幅広い支持を得られる候補としてバイデン氏が選んだ。政治色を前面に出さないFRB議長やエコノミストとして、党派を超えて高い評価を得ており、中国への厳しい発言は異例だ。バイデン新政権の経済外交でも、貿易問題などの懸案では、強い圧力をかけて改善を求めていく姿勢を打ち出すものだ。

 米国でコロナ危機は低所得層や非白人に偏る形で打撃を与える一方、株価は高騰を続けてきた。イエレン氏は「人々は(貧富の差が広がる)『K字回復』について懸念しているが、米国は、コロナ危機の前から富が富を生む『K字』の経済構造だった」と指摘。格差是正に本腰を入れる方針を示した。為替政策については「米国は貿易での優位を得るための『弱いドル』は志向しない。他国が不正な優位を得るため(自国通貨切り下げの)為替操作を図る場合、どのような試みであれ反対する」と述べた。(ワシントン=青山直篤)

【動画】バイデン氏が新しい米大統領に。外交、バイデノミクス、多様性……。混乱が続く米国や世界はどうなるのか。動画で解説します。