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 長崎市の私立保育園に勤めていた40代の女性保育士が2017年に自殺し、遺族が園を運営する社会福祉法人に損害賠償を求めた訴訟で19日、長崎地裁(天川博義裁判長)は、女性への配慮が不十分だったとして法人に計約3500万円の支払いを命じた。自殺の前年に、保護者が虐待を訴えた「騒動」で心理的負担を負ったと認定した。

 遺族は18年11月に、計約8千万円の支払いを求めて提訴。園側はカウンセリングや業務削減に取り組んでいたなどとして請求棄却を求めていた。

 判決によると、保護者が16年に園内で虐待があると訴えた。その後、園は市の監査を受け、園児をたたくなどの行為を改めるよう勧告を受けた。園では動揺が広がり、経験豊富な保育士が複数退職した。

 判決は、女性はこの騒動で強い心理的負荷を受けてうつ病を発症したと認定。遺書の内容などから、受け持ちの園児に実際には負わせていない大けがを負わせたという妄想に支配され、自責の念を直接のきっかけに17年夏に自殺したとした。園の対応は心理的負荷を軽くさせる効果はなく、十分な措置を講じていたとは言えないとした。(榎本瑞希)