新型コロナウイルスの人から人への二次感染が、国内で初めて判明して28日で1年となる。このとき感染した奈良県在住のバス運転手の男性を最初に診察した診療所の医師が、メディアの取材に初めて応じ、当時を振り返った。
拡大する「のぞみ診療所」の飯岡院長=2021年1月13日、奈良県桜井市、根本晃撮影
「バスの運転手をしています。中国の武漢からの客を乗せました」。昨年1月17日午前。奈良県桜井市の住宅街の一角にある「のぞみ診療所」を、マスク姿の初老の男性が訪れた。
不安げに話す男性は3日ほど前から悪寒やせき、関節痛などの症状があった。体温は37度0分。診察した飯岡弘伊(ひろい)院長(47)は「かぜ患者のような雰囲気だった」と振り返る。当時感染の流行地だった「武漢」という地名に不安がよぎり、念のため肺のX線検査をした。結果を待つ間、「武漢 新型コロナウイルス」とネット検索をしてみた。
その時に見た感染が疑われる基準は「37度5分以上の発熱と呼吸器症状」「発症から2週間以内に武漢市内を訪問、もしくは新型コロナの患者またはその疑いがある患者と2メートル以内の接触歴がある」の二つが当てはまった場合。飯岡院長は男性が基準に当てはまらないと知って「ほっとした」が、「自分ひとりの判断で帰してよいのか」と思い、男性の目の前で、「念のため」と所管の奈良県中和保健所に電話。X線検査で肺炎の所見は見られず、保健所も経過観察を指示した。
25日午前11時半、男性が再…
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朝日新聞社会部