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ハゲタカと戦った328日③

 ほかの企業から敵対的買収を仕掛けられたときに、狙われた側の企業が支援を求めて友好的買収を頼む相手のことをホワイトナイト(白い騎士)と呼ぶ。株式の公開買い付け(TOB)をされて経営権が奪われそうになったときに、頼りになる存在だ。

 ホワイトナイトに協力を頼んで実施する対抗策はいくつかある。最も一般的なものは、経営陣が自分たちで株を買って非上場化してしまう「マネジメント・バイ・アウト(MBO)」だ。中堅不動産会社ユニゾホールディングスの買収防衛のケースでもそれは有力な選択肢になるはずだった。

 ところが、ユニゾ社長の小崎哲資は2019年7月にHISによる買収を仕掛けられた当初から、役員たちに「MBOはしない」と宣言していた。ユニゾ株を買い集めていたのがHISだけではなく、エリオット・マネジメントのようなアクティビスト(物言う株主)たちもいたからだ。

 アクティビストは狙いを定めた企業の株を買って、株主という立場で経営陣に経営改善を迫る。目的遂行のためなら経営者たちのクビを切り、企業価値を高め株価の上昇をめざす。そうやって、適当なところで売却してより多くの売却益を得ようとするのだ。

 ときには経営陣と直接の交渉もする。株主総会で株主提案をしたり、ほかの株主から委任状を集めたりもする。こうしたやり方が企業の経営改革を促して株式市場の活性化につながっていると評価する見方もある。一方で、多くの企業の経営陣にとって、物言う株主はやっかいな存在とみなされている。エリオットはその物言う株主の代表格として知られていた。

 小崎がMBOを除外したのは、経営陣による防衛的なMBOでは、エリオットなどが受け入れないだろうとみたからだった。アクティビストたちからすれば、せっかく株を買い集めたのにMBOをやられたら、経営陣に物申す機会がなくなり、投資がムダになりかねない。ユニゾ経営陣がMBOを決めたら、エリオットは「経営陣に有利な価格でMBOを実施するのは違法だ」などと訴えてくる可能性があった。ユニゾのような中堅不動産会社にとって、アクティビストとの法廷闘争を抱えたまま経営を続けていくのはかなり厳しい。

 ユニゾ経営陣は国内外のファンドなど候補のなかから「ホワイトナイト」を選ぶ作業を急いだ。ところが、どの候補も提案してくるのは「MBOによる対抗策」ばかりだった。ユニゾ経営陣は「MBO以外の選択肢を示してほしい。従業員の雇用を最大限守ることができる防衛策を考えてほしい」と呼びかけたが、納得できる提案はなかなか示されなかった。

■雇用は守られ…

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