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 昨年で創立140年を迎えた大阪市立大(住吉区)が、その歩みを伝える記念展示室をつくり、今月から一般公開を始めた。2022年の大阪府立大との統合を前に、大学史資料館を設立する準備も進めている。

 展示室は昨年11月、国の登録有形文化財にもなっている杉本キャンパス1号館1階にお目見えした。広さ約160平方メートル。大学が収蔵する古文書数万点と縄文~江戸時代の人骨約800体などの中から、大阪とかかわりが深い約100点の資料を展示している。

 自然科学のコーナーでは、海にすむ原生生物・放散虫の研究を紹介している。放散虫の化石は地層の年代鑑定に貢献し、日本列島の形成史を書き換えた。このほか、大阪平野の地質を明らかにした地層調査、阪神・淡路大震災の被害調査なども展示されている。

 近畿の人類学研究をリードしてきた大学院医学研究科の収蔵資料からは、大阪市中央区の森の宮遺跡から見つかった縄文時代の男性と見られる人骨や、織田信長と大坂本願寺が戦った石山合戦(1570~80)で首を切られたとみられる頭蓋骨(ずがいこつ)が展示されている。

 大学の歴史を象徴する展示として、1969年の大学紛争で炎上した跡が残る建物の柱も。

 展示室の監修には、大学院文学研究科の岸本直文教授(考古学)や生活科学研究科の小池志保子准教授(住空間設計)ら6人がかかわり、2019年4月から準備を進めてきた。

 設立準備委員会の委員長を務めた法学研究科の桐山孝信教授(国際法学)は「在校生、卒業生、保護者、地域に住む人たちをつなぐミュージアムとして育てたい」と話す。

 市立大の前身である大阪商業講習所は1880年11月、初代大阪商工会議所の会頭で近代大阪経済の祖と呼ばれる五代友厚らが設立した。1928年、日本初の市立大学・大阪商科大となった。御堂筋の整備に取り組んだことでも知られる当時の関一(せきはじめ)市長が国に働きかけ、実現した。

 終戦後の45年10月には進駐してきた米軍に杉本キャンパスを接収された。翌月から教育を再開したが、市内各地の国民学校(現・小学校)を仮学舎とした。

 49年に新制・大阪市立大となっても学舎は分散したままで、50年に朝鮮戦争が始まると、杉本キャンパスは軍事病院に転用された。大学側は米軍や国に陳情を重ね、55年に全面返還された。展示室にはこうした歴史が凝縮されている。

 市立大は2022年、府立大と統合し、大阪公立大に生まれ変わる。市立大の名前は消え、学部や研究科も再編される。市立大の荒川哲男学長は「140年の歴史を自然消滅させてはならない」として、大学史資料館の設置を提案しており、今回の展示室開設はそのステップの一つだ。

 荒川さんは「新大学の土台には、両大学それぞれの歴史がある。市民と共に育ってきた市立大の存在を形に残したい」と話す。

 見学は1団体(10人まで)の予約制で、無料。休祝日と入試日などを除く各日午前11時、午後1時、2時から30分間。希望日の1週間前までにメール(media-140yoyaku@list.osaka-cu.ac.jp)で申し込む。(花房吾早子)

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