[PR]

ハゲタカと戦った328日④

 2019年秋、敵対的買収の脅威にさらされていたユニゾホールディングスは厳しい状況にあった。買収防衛の支援を頼んでいた「ホワイトナイト」(友好的な買収者)と折り合わず関係を解消し、後釜を探し始めたもののまだ見つかっていなかった。

 そんなときに、また新たにユニゾ株を狙う強力なプレーヤーが現れた。世界最大級の投資ファンドである米ブラックストーン・グループである。NYに本社があり、運用資産は全体で約5840億ドル(約60兆円)、不動産だけで約1740億円(約18兆円)にものぼる世界屈指の投資ファンドだ。

 このときまでにユニゾ買収に名乗りをあげていた主な勢力は、最初の大手旅行会社HIS、「物言う株主」のエリオット・マネジメント、ホワイトナイトを解消したフォートレス・インベストメント、そしてブラックストーンだ。

 ホワイトナイトを探していたとはいえ、名だたる有力投資ファンドたちがこぞってユニゾを狙うのはなぜなのか。それは、ひとえにユニゾ株が割安で、買収のうまみが大きいと期待されたことだろう。ユニゾは決算数字上の業容以上に保有資産の含み益が大きく、それが株価に反映されていなかった。不動産投資につぎこむ資金を捻出するため、増資を繰り返したことが悪材料となっていたからだ。保有資産を売って売却益を出せば、株価はもっと格段に上昇するはずだと投資ファンドらは見ていた。

 ユニゾはもともと、常和ホールディングスという地味な不動産会社だった。2010年以降、「攻めの経営」に転じ、東京都心や地方拠点都市の一等地の物件を中心に土地を購入。ビルやホテルを建て、業容を急速に拡大した。それが日本経済の景気拡大の波にも乗った。長らく低迷していた地価が上昇に転じつつあるタイミングだったのだ。

 HISによる買収が始まるまでユニゾ株はそれほど注目される銘柄ではなかった。HISが1株3100円の条件でTOB(株式公開買い付け)を仕掛けた19年7月10日まで、株価は1株2千円を割る水準に低迷していた。

 このころのユニゾの保有不動産の含み益は2千億円ほどまでふくらんでいた。ユニゾは保有不動産の住所を公表していたので、その道のプロが分析すれば地価動向からユニゾが保有する資産規模は推計できた。

 「真の実力を推し量ればユニゾ株は1株5千~6千円でもおかしくなかった」と専門家たちは口をそろえる。実際の株価はそれよりずっと低い水準だった。投資ファンドからみれば、お買い得で狙いごろの銘柄に映ったのも当然だった。

■ファンドが手を組む可…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら