和歌山県内ゼロの同性パートナーシップ制度 当事者講演

藤野隆晃
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 同性のカップルにも、婚姻関係と同様の関係にあることを証明する「同性パートナーシップ制度」。和歌山県内では現在導入している自治体はない。制度の意義などを知ってもらおうと、当事者が語る催しが和歌山市内で開かれた。理解を深める取り組みを進める企業もある。

 「制度を導入することで、法律上の婚姻が認められていない現状でも、関係性を公的に証明できます」。16日、ゲイを公表する阪部すみとさん(44)が講演した。阪部さんは大阪市在住。当事者向けのイベントを開くかたわら、私生活では17年目になる同性パートナーと共に暮らす。

 制度は、同性カップルの関係を公的に認め、行政や企業に対し夫婦と同じ対応をするように求めるもの。「同性パートナーシップ・ネット」によると、8日現在、全国の74自治体に同様の制度があり、12自治体が導入予定、85自治体が導入を検討している。

 阪部さんは2018年8月から、大阪市のパートナーシップ宣誓証明制度を使う。阪部さんは講演で、制度の導入は性的少数者のみに恩恵があるというわけではないことを強調した。「性の多様性をもった人たちが暮らしやすい地域になり、ひいては多様な生き方が尊重される、誰もが暮らしやすい街になります」

 和歌山県内はどうか。同性パートナーシップ・ネットの調査では、制度を導入している自治体はなく、導入予定または検討しているところもない。すべてゼロなのは、近畿2府4県では和歌山のみという。

 県も導入には消極的だ。仁坂吉伸知事は「(当事者へ)差別をしてはいけないのは明らか」としつつも「制度をつくるという点では、熱心に推進したいとは思わない」と話す。現状、県内では同性パートナーは公的に関係を証明するものがないなどの理由で、県営住宅に入居ができないといった課題があるが「(当事者にとってどういう課題があるか)検討して、ひとつひとつ対応したい」と述べるにとどめる。

 一方、県と関係のある企業の中には、同性カップルへの理解を深めようとしているところもある。同性カップルの披露宴などを受けいれている式場も県内にある。「アドベンチャーワールド」(白浜町)を運営する「アワーズ」(大阪府松原市)は、性的少数者への理解を促すために社員向け研修や、イベントへの協賛などに取り組んでいる。担当者は「誰もが楽しめるパーク、そして安心して働きやすい環境を目指しています」と説明した。藤野隆晃