91歳のアマ写真家、長良川撮って40年、写真集に

阿部英明
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 長良川の流域で生まれ育った91歳のアマチュア写真家が、長良川とともにある自然や人を撮影して40年ほどになる。当初から「長良川の今を後世に残そう」との思いで、源流から河口まで丹念に巡ってきた。このほど4冊目の写真集を出版した。

 岐阜市在住で全日本写真連盟会員の後藤亘さんが写真に目覚めたのは、会社員時代に高山市に赴任し、冬山の美しさに魅せられたのがきっかけだった。

 そのころ、長良川では河口堰(かこうぜき)の建設計画が持ち上がり、反対運動が熱を帯びていた。「ふるさとの川が変わってしまう」との危機感が長良川に向かわせた。

 今回の写真集は「清流長良川に生きる」(岐阜新聞社)と題した。この数年意識して撮ってきたアユの一生を巻頭で特集した。

 晩秋の産卵は流れの急なところが多い。胸まで水につかりながら、1メートルほど離れた場所にガラスの水槽を沈めて撮る。「午後2時ごろ川に入って、日没寸前のクライマックスに備える。夢中になって寒さを忘れます」。

 郡上市の源流域まで足を運んでも、狙い通りにならずに丸一日1枚もシャッターを切らないこともある。川霧に包まれる長良川温泉の旅館街や、朝日を浴びて出漁する三重県桑名市の河口部の漁船まで、風景だけでなく川を生活の糧にする漁師や川に親しむ人の豊かな表情もとらえた。

 「長良川は撮れば撮るほど情がわくというか、愛着が深まる。今後は、アユの卵が孵化(ふか)する瞬間、破って出てくるその時を撮ってみたい」と意欲的だ。

 写真集は91ページ。2200円(税込み)。「長良川を知ってほしい」と県内の全図書館と高校、長良川流域の主な小中学校に写真集を寄贈する。出版に合わせた写真展を24日まで、岐阜市大宮町1丁目の加藤栄三・東一記念美術館で開いている。入館料が必要。高校生以上310円、小中学生150円。問い合わせは同館(058・264・6410)へ。(阿部英明)