二重国籍を認めない国籍法は「合憲」 東京地裁が初判断

阿部峻介
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 外国籍を取得すると日本国籍を失う国籍法の規定は憲法違反だとして、海外在住の8人が日本国籍を維持していることの確認などを国に求めた訴訟で、東京地裁(森英明裁判長)は21日、合憲と判断して訴えを退ける判決を言い渡した。この規定をめぐる憲法判断は初めてとみられる。

 争点は「日本国民は、自己の志望によって外国籍を取得したときは、日本国籍を失う」とする国籍法11条1項の違憲性だった。

 判決は「個人が複数の国家に主権を持つと国家間の摩擦を生じる恐れがある」と指摘。外交上の保護や納税をめぐる混乱を避けるために重国籍を認めないという国籍法の目的は「合理的だ」と判断した。憲法22条2項の「国籍を離脱する自由」との整合性については、「同項は、日本国籍の離脱を望む者に対し、国家が妨げることを禁止するものにすぎない」と指摘。国籍を維持する権利までは保障していないとして原告の主張を退けた。

 原告は、自身や親の仕事の都合で欧州に住む8人。国籍法の規定は兵役義務などの観点から重国籍を認めなかった明治憲法下の国籍法から引き継がれたもので、グローバル化する現代に対応していないと主張し、憲法が保障する幸福追求権の侵害も訴えていた。

 原告の代表でスイス在住の野川等さん(77)は判決後、パソコン画面で会見に参加した。「憲法より法律の方が強いと言ったようなものだ」と批判し、控訴する考えを示した。

 海外に住む日本人は増え続けている。外務省によると、滞在3カ月以上の長期滞在者と永住者は1989年は約58万7千人だったが、2019年には約141万人になった。国連の調査では、11年時点で世界の7割ほどの国が条件付きを含めて重国籍を認めている。(阿部峻介)