安倍官邸は最高裁の裁判官人事に加え、全国に八つある高裁の長官人事にも関心を寄せた。司法への政治の介入を防ぐため、血がにじむ思いで設けられた「壁」を前に、菅官房長官は。
第2次安倍政権が始まってしばらくたってからのこと。官房長官の菅義偉は高等裁判所の人事について周囲に質問した。「以前は複数の候補を官邸に上げてきていたんじゃないか」
全国に八つある高裁のトップの長官人事。裁判所法40条では、最高裁の指名した名簿によって内閣が任命すると定めている。それまでは、最高裁側は、一つの長官ポストについて、ふさわしいと思う一人だけを上げていた。それに疑問を持っていた菅が過去の事例を独自に調べたのだ。
菅が調べた通り、一つのポストに一人の候補を最高裁が示すようになったのは、2010年の菅直人政権からだった。下野するまでの自民党政権、そして鳩山政権までは複数の候補を最高裁は示し、官邸が選んでいた。当時の経緯を知る関係者によると、官房長官だった仙谷由人が「複数の候補を挙げることができるのであれば、この人も候補に入れておいて欲しい」と官邸スタッフに要求したのだという。仙谷は弁護士でもあり、法曹界に広い人脈を持っていた。
官邸の事務スタッフの間で「官…
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