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 北半球の高緯度地帯にすむライチョウにとって、日本の本州は分布の南限だ。氷河期に南下してきた後に取り残されたそうで、立山(富山県)などの高山帯に暮らす。夏羽は主に黒褐色や黄褐色だが、山が雪に覆われる季節には白い冬羽をまとう。

拡大する写真・図版暈のかかった太陽の下にたたずむライチョウ。第36回「日本の自然」写真コンテスト(全日本写真連盟など主催)の優秀賞作品=田中成憲さん撮影

 日本のライチョウは人を恐れない。実際、登山道の近くに現れる姿がしばしば目撃される。山岳信仰などと結びついて霊験あらたかな鳥とあがめられ、人々が捕らえようとはしなかったことと関係するらしい。この性質自体が、一つの文化的遺産とも言えるようだ。

 空に薄い雲が広がる日、愛知県から立山へ長年撮影に通う田中成憲さん(76)は、暈(かさ)のかかった太陽と組み合わせる被写体を探す中でライチョウに出合った。「逃げないので腹ばいになって近づき、魚眼レンズで撮影した」のがこの写真。厳しい雪の高山帯を生き抜く姿が、神々しく捉えられた。(米山正寛)