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ハゲタカと戦った328日⑤

 ユニゾホールディングスの経営陣は2019年11月、米投資ファンドのブラックストーンを「ホワイトナイト」(友好的な買収者)に迎えるための契約交渉を進めていた。事実上、同社にユニゾの保有資産の大半をわたす内容だった。ユニゾ側にとっては不本意だったが、複数の投資ファンドから株を買い占められようとしている状態では、交渉の余地のあるブラックストーン案を受け入れるしかないというムードが漂っていた。

 この月の終わりごろ、ユニゾ本社(東京都中央区)のオフィスにいた社長の小崎哲資(68)あてに突然電話があった。米投資ファンドのローン・スター・グループからだった。ローン・スターの担当者は言った。「社員の雇用を守るために会社を残したいのでしょう? それなら我々にアイデアがありますよ」

 持ちかけてきた案は「EBO」だった。「エンプロイー・バイアウト(Employee Buy―Out)」、略して「EBO」。社員が会社を自ら買収してしまうことだ。

 経営陣による買収(MBO)は海外はもとより日本でもしばしば行われる。だがEBOは世界でもほとんど例がない。米国などでは社員主体のEBOを名乗る買収例もあるが、実態は経営陣主体のものもめだつ。EBOは日本でも実績はほぼない。少なくとも上場会社での大規模なEBOは初の試みとなる。

 ユニゾ経営陣とすれば、ホワイトナイト探しに行き詰まり、仕方なくブラックストーンによる買収案を受け入れる直前まで追い込まれていた。そこに舞い込んだローン・スターの提案。まさに渡りに船だった。

 ローン・スターが提案するEBOの仕組みはざっくり言えば、ローン・スター側がユニゾ社員たちにユニゾの買収資金約2000億円を貸す、というものだった。

 これは投資ファンドとしては珍しい提案だ。通常なら投資ファンドは買収先の株式を自ら買い入れようとする。買収した企業の株価が上がれば上がるほど、最終的に売却して得られる利益が大きくなるからだ。そんな一獲千金狙いが投資ファンドの妙味と言ってもいい。

 このEBO案は、ユニゾ株を買う従業員たちに、ローン・スターが巨額の資金を確定利回りで貸し出すというものだった。銀行が融資するのと同じようなものだが、違いがあるとすれば、何の信用もない従業員たちに巨額の資金を貸し出すことだろう。銀行はそんなリスクは取りにくい。その分、ローン・スターが設定した利回りはきわめて高かった。

取締役は全員辞める

 実は、ユニゾによる最初のホワ…

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