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 鉄鋼最大手の日本製鉄は21日、ワイヤロープ最大手の東京製綱に対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。現在9.9%の株式を保有する筆頭株主だが、最大約24億円を投じて19.9%まで買い増す方針だ。目的を「株主としてのコミットメントを高め、企業価値の回復・向上に寄与すること」としている。

 東京製綱は21日夜、「当社に対して何らの連絡もなく一方的かつ突然に行われた。情報を精査した上で、速やかに当社の見解を公表する予定」と表明した。TOBへの意見は、改めて公表するとした。

 TOBの期間は22日から3月8日まで。1株当たり1500円で買い付ける。21日の終値は1072円だった。TOB実施後も東京製綱の株式上場は維持される。

 東京製綱は1887年創業。漁業やクレーン向けロープなどの不振で、2020年3月期の純損益は24億円の赤字に転落していた。日鉄は、東京製綱に原料を納入している。

 日鉄は特に、東京製綱の田中重人会長が19年間代表取締役を務めていることを問題視している。田中会長は日鉄の前身の新日本製鉄出身だ。日鉄は「ガバナンス体制の機能不全など、経営上の問題を抱えているにもかかわらず有効な対応策を講じず、継続して業績が悪化している状況をこれ以上看過できない」として、出資比率を上げ「経営体制の再構築を促す」という。(江口英佑)