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 横浜市は21日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の「実施方針」を決め、開発・運営する民間事業者の公募を始めた。提案を6月前半に受け付け、国に申請する「区域整備計画」を共同でつくる事業予定者を選ぶ。市長選が今夏に予定される中、事業者が市長選の前後どちらに決まるかが、当面の焦点の一つになりそうだ。

 実施方針は同日、林文子市長が最終的に了承して決まった。市の重要施策を決める経営会議に諮る段取りだったが、市長は帯状疱疹(ほうしん)で入院中のため、病院で決裁したという。

 実施方針で市は「世界最高水準のIR」を掲げ、大規模な国際会議場・展示場や、最高級ホテルを含めた宿泊施設群、劇場や美術館といった集客施設など、事業者に求める具体的な要件を示した。一体的に整備するカジノについては、依存症や治安悪化などの有害な影響の排除を求めた。2020年代後半の開業を見込み、事業期間は35年。

 市はこれらの要件を満たしたIRを横浜港・山下ふ頭(中区)に整備する事業者からの提案を6月1~11日に受け付ける。応募できるのは、海外でカジノを含む大規模な複合施設の開発・運営実績があり、暴力団と関係がないなどの条件を満たす企業やグループ。2~5月に応募事業者の参加資格の審査を実施する。

 6月以降、有識者でつくる選定委員会が審議し、市はその結果を踏まえて今夏ごろ最終的に事業予定者を決める。秋から冬ごろまでに事業予定者と共同で区域整備計画をつくり、市民らが参加する公聴会や市議会の議決などを経て、来年4月までに国に申請する。

 国は来年5月以降、各自治体が申請した区域整備計画から、最大3カ所を認定する。誘致を表明している大阪府・市、和歌山県、長崎県の3地域はすでに事業者公募を開始している。

 カジノの収益を建設や運営の資金源とするIRをめぐっては市民の反対が根強く、今年8月29日の任期満了に伴う市長選で争点になるのは必至だ。誘致に賛成する自民党内には「IRの具体像を説明できる」と市長選前の事業者決定に期待する声が強い。

業界大手、米の事業者が撤退

 コロナ禍で海外のIR事業者の業績が悪化し、昨年5月には横浜進出に意欲を見せていた業界大手の米ラスベガス・サンズが撤退した。横浜市の担当者は21日の記者会見で「経済的に非常に厳しい環境」と認める一方、「IRへの事業者の期待は大きい。がんばって手を挙げていこうという雰囲気はある」と強調した。

 事業者公募の開始を受け、メルコリゾーツ&エンターテインメント(香港)は朝日新聞の取材に対し、「横浜の皆様とともにIRの実現に向けて一歩進めたことを大変うれしく思います」、セガサミーホールディングスも「昨年初めに横浜でのIR参入を表明して以来、変わらず意欲をもって進めている。どんな状況になっても対応していく」とコメントした。

 また、SHOTOKUは「経済の落ち込みは続く。IRは市、県、国の経済活性化のために重要な施策だ」(鈴木保代表取締役)と強調。ギャラクシー・エンターテインメントの日本法人も今月19日に公式サイトに掲載した年頭あいさつで「新たなイノベーションを先導する気概をもって、日本市場へのコミットメントを継続していく」と参入への意欲を示した。(武井宏之、松沢奈々子)