シドニー=小暮哲夫
核の脅威がない世界を求める国際世論の後押しを受け、核兵器禁止条約(核禁条約)が22日に発効した。歴史的な日をいち早く迎えたオセアニア地域は、欧米各国の核実験に苦しんできた歴史を抱える。反核を訴えてきた人々の声は、日本の被爆者たちと同じように強く、重い。(シドニー=小暮哲夫)
オーストラリアのシドニーでは22日朝、条約の実現に貢献した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のメンバーが集まり、「今や核兵器は違法だ」と書かれた横断幕を掲げた。現在の本部はジュネーブにあるICANは2007年、豪州のメルボルンで設立された。その活動には豪州のヒバクシャも深く関わってきた。
拡大する豪州の先住民、カリーナ・レスターさん。英国の豪南部での核実験で被曝した父らの苦しみを語り継ぐ=本人提供
「父が生きていたら、喜んでいるに違いない」。豪南部アデレードの女性、カリーナ・レスターさん(46)は、この日を特別な思いで迎えた一人だ。
豪州では1952~57年に英国が計12回、核実験を繰り返した。うち9回は南部の砂漠地帯で行われた。人的な被害を避けるために選ばれた場所だが、一帯に暮らしていた先住民(アボリジナルピープル)たちが各地で被曝(ひばく)したり、核物質で汚染された土地を追われたりした。
53年10月15日の朝、カリーナさんの父、ヤミさんら先住民の一族が暮らす豪南部ワラティンナの空に黒い霧のような雲が立ちこめた。約170キロ離れた場所で核実験が行われていたが、先住民たちには知らされていなかった。
その日の夕方までに人々には、…
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朝日新聞国際報道部