開成校長「進路は世界へ延びている」 受験生に贈る言葉

校長から受験生へ

聞き手・宮坂麻子
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 入試シーズンが本格的に始まりました。コロナ禍の中で頑張っている受験生たちへ、校長たちからの言葉をお届けします。

校長から受験生へ:開成中学校・高校 野水勉さん

 緊急事態宣言下で、様々なことが制限されて不安があると思いますが、大学受験生は、動じずに、個別試験でもつけてきた力を発揮してください。中学受験をする人、高校受験をする人は、今こそ新聞を読んで世の中の動き、世界の動きに目を向けて欲しい。

 これからの時代に求められる人は、世界を視野に、自分の考えをしっかり持てる人間です。入試でも、知識ばかりを詰め込んだだけの人間は求めていません。

 私は、名古屋大学で約30年間、国際交流にかかわり、留学生教育学会の会長も6年間務めました。それでもなお、国際連携の必要性を強く感じています。

 開成には、英語ネイティブの教員・講師が7人います。年間50人近くの生徒は、米国のボーディングスクールなどに短期に留学します。今年度はコロナ禍で海外へは行けませんが、世界を肌で感じたい生徒がいれば、常に後押しします。もう日本の大学ばかりがめざす大学ではありません。

 コロナの感染が国内で確認された昨年初め、米国の大学でも教えた経験のある柳沢幸雄前校長は、ICT(情報通信技術)の得意な教員たちを中心にしたオンライン教育のプロジェクトチームを立ち上げ、双方向やオンデマンド授業の準備を進めました。これにより、各教員のデジタルへのハードルが一気に下がりました。デジタルも、これからを生きる生徒には必要です。

 学校が旗を振ってやらせるのではなく、生徒たちが進みたい道を支援する。コロナの影響か、今年度は家計急変の申し出が出てきています。しかし、学費が理由で進みたい道を閉ざすことがないよう、これまで高校生を対象にしていた奨学金制度を、中学生にも広げました。成績に関係なく、世帯年収に応じて、授業料などが免除されます。費用は卒業生の寄付で賄われます。各校の奨学金制度も調べて、活用してはどうでしょう。

 今回の入試では、コロナの感染者、濃厚接触者に対応する追試を、我が校では、中高ともに2月23日に設けました。開成をめざして勉強してきた子から、受験機会を奪うことがないようにしたい。

 世の中では閉塞(へいそく)感が増していますが、不安がらないで。睡眠時間を減らして、詰め込むこともやめてほしい。しっかり寝て、体も動かして、心も体も健康な状態で入試を迎えてください。コロナ禍でも頑張ってきたみなさんのことは、だれもが応援しています。

 結果が吉と出るか、出ないかは紙一重です。それまでの努力が大事な宝。ゆっくりと落ち着いて入試にのぞんでください。(聞き手・宮坂麻子

     ◇

 1954年、福岡県生まれ。名古屋大名誉教授。開成中高から東大工学部へ。特殊法人勤務後、名大助手、名大工学研究科で博士号取得。米ハーバード大客員研究員、名大総長補佐などを歴任し、昨春から現職。