文・湯瀬里佐、写真・山本裕之
拡大する「アサギリ高原パラグライダースクール」のタンデムフライト体験(2人乗り)パラグライダーが、朝霧高原の上空に向けて飛び立った=静岡県富士宮市、山本裕之撮影
息のつまるような日が続く。富士山を眺めて深呼吸してみよう。悠々と飛ぶパラグライダー。その下に、今年の主役が待っている。
拡大する雪が積もる富士山のふもと「朝霧高原」で、放牧される乳牛たち=静岡県富士宮市の「なかとみ牧場」、山本裕之撮影
なだらかに裾野を伸ばした富士山が背後に広がっている。白と黒、様々な模様の乳牛がこちらでたたずみ、あちらでうずくまり、もぐりもぐりと反芻(はんすう)に余念がない。絶景も、今年の干支(えと)も、ウイルスもどこ吹く風――。大きな景色に緩やかな時間が流れる。
静岡県富士宮市の朝霧高原。富士山の西のふもとに広がる草原はパラグライダーやキャンプの場所として人気だが、国内有数の酪農地帯でもある。700ヘクタールにホルスタインなど約5千頭の乳牛が暮らしている。古くは源頼朝の巻き狩りの地として知られ、昭和の時代には旧陸軍の演習地があった。酪農が始まったのは戦後のことだ。
拡大する「なかとみ牧場」の牛舎で、飼育されている乳牛たち=静岡県富士宮市、山本裕之撮影
敗戦翌年の1946年、長野県下伊那郡の村から130人の開拓団がやってきた。食糧増産の国策に応じた復員兵、引き揚げ者たちだ。漬物おけにためた雨水を飲み、薬莢(やっきょう)を拾って荒れ地を耕したが、地下に水も根も通さない土があり、満足に作物が出来ない。牧草なら育つことがわかって酪農に転じた。寒冷な気候も牛に適していた。富士の裾野は牧草地に変わり、牛がいる景色が新たな名所になった。
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富士開拓農協によると、いまも…
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朝日新聞社会部