新型コロナウイルスへの感染者が多い状態が続き、首都圏と同様に厳しい医療体制が続く大阪府で、吉村洋文知事が民間の病院に対し、コロナ患者を受け入れる病床を一層増やすよう求めています。民間病院はどのような形で新型コロナに対応するべきなのか。大阪府医師会長で、府の新型コロナ対策本部専門家会議のメンバーとして対策づくりにもかかわる茂松茂人さんに聞きました。
――大阪の感染状況をどうみていますか。
全国と同様に、クリスマスや年末年始に会食などの機会が増え、それまで落ち着いて見えた大阪での感染者数がどんと増えました。すぐに緊急事態宣言の発令を国に求めた吉村知事の判断を支持したい。この1週間で、感染者数をなんとか抑え込めればと思っています。
――大阪は全国的にみても死亡者が多いです。
亡くなった人のほとんどは70歳以上。大阪で死亡者が多い要因として、他府県よりも年齢構成が高めで、3世代同居が多いといったことが考えられます。さらに、高齢者施設などでのクラスター(感染者集団)の発生が目立ちます。大阪府ではクラスターの拡大を早期にくい止めるため、高齢者施設の入所者や職員への検査体制を強化しますが、大切なことです。
――大阪でも医療が逼迫(ひっぱく)し、吉村知事は民間病院に一層の病床確保を求めています。
府医師会としても、私立病院協会などに対して「規模の大きな病院については病床確保を」とお願いをしています。ただやはり、民間病院の多くは新型コロナのために病床を確保するのは難しい事情があります。
――どのような事情ですか。
たとえば、施設内で、新型コロナの患者さんとそうでない患者さんが交わることのないよう、通路などの「動線」をきっちりわける必要があり、これができないと院内感染を招きやすくなります。でも病院のエレベーターや、CTやMRIといった医療機器が一台ずつしかなければ、コロナ患者さんとそれ以外を分けることは事実上できません。逆に、同じ敷地内に病棟の建物が複数ある病院もあります。そうしたところでは対応がしやすいでしょう。
――府は一定の規模をもつ約110の病院に、コロナ対応のため1床ないし2床の病床確保を呼びかけていますね。
その方針をおおむね支持したいですが、病院ごとの受け入れ病床数が多くない割に、病院全体にわたって動線の見直しや改修が必要となり、大きな費用を伴うことになりやすいという問題があります。むしろ、300床くらいをもつ大規模病院に20床なり30床なり、たくさんの病床を確保してもらえるようにして、整備に必要な費用をしっかり助成するほうが効果的なのではないかと考えています。
また、公的病院も新型コロナの患者を受け入れる施設数は多いですが、確保している病床の数でみるとそれほどでもありません。こちらをもっと充実していただきたいです。
――最近は「民間病院がコロナ対…
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