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 原発事故の避難指示が解除された地域を悩ませているイノシシ。住民の帰還や農業再開の妨げにもなっている中、福島県富岡町でICT(情報通信技術)で追い払ったり、追跡したりする実証実験があった。最新技術とイノシシの知恵比べ。軍配はいかに――。

 「今、歩いてきた道は、イノシシ街道と言っていいほど頻繁に通ります」

 富岡町役場の西1キロ弱の王塚地区。昨年12月に学術関係者らを招いた現地見学で、東京農工大学の金子弥生准教授(動物生態学)はこう説明した。

 地区内に約20台設けたのが「イノシシ追い払いシステム」。イノシシを検知すると、青い光が点灯する。犬のほえる声が流れ、追い払う仕組みだ。カメラもついており、反応などを8秒間録画する。

 画像からは成獣5頭、幼獣16頭を確認。19回撮影された映像を解析すると、いずれもイノシシを遠ざけることができた。金子准教授は「農地への侵入をあきらめた可能性がある」とみる。

 実験は東京農工大、NTT東日本、町が昨年7月から約5カ月間取り組んだ。2017年4月に町の大部分の避難指示が解除された後、営農を再開した渡辺伸さん(60)が協力。渡辺さんは「電気柵だけで追い払うには限界がある」と、実験のメリットを語る。

 追い払うだけでなく、行動把握にも力を入れる。捕獲したイノシシに首輪型のGPS(位置情報システム)を取り付け、追跡調査した。情報は実験に関わる人々にメールで送られる。

 その結果、近くを流れる富岡川の河川敷など4カ所で休息し、近場の農地がエサ場となっていることがわかった。営農を再開した農家の6~7割は避難先から通っているため、夜間は静かで、イノシシがすみやすい環境が整っていると、金子准教授は分析する。

 行動範囲は、渡辺さん宅の北側を走る常磐線の線路を越え、住宅密集地にも広がっていた。農業被害だけでなく、電車や車、人とぶつかる可能性がある。

 これまでもICTはイノシシ対策に活用されてきた。ただ、わなを遠隔で監視し、猟師の見回りなどの負担軽減が中心だった。イノシシの追い払いについても、東京電力が18年、浪江町でドローンに超音波発信機を載せた実証実験をしたが、音や光で追い払う取り組みは珍しいという。

 イノシシは営農や住民の帰還の…

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